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<title>ナニミル？～DVD日記～</title> 
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<modified>2012-05-14T03:12:37Z</modified> 
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<title>ミッション：インポッシブル／ゴースト・プロトコル（2011年・アメリカ）</title> 
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  <modified>2012-05-14T03:12:37Z</modified> 
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<![CDATA[
<p><font size="2">原題：MISSION:IMPOSSIBLE-GHOST PROTOCOL</font><br />監督：ブラッド・バード　脚本：ジョシュ・アッペルバウム、アンドレ・ネメック<font size="2"><br /><br />　「イーサン・ハント久しぶりだなあ」と思いながら自宅でブルーレイを観ていたら、エンディング間近で「あー、3作目の復讐してから観りゃ良かった」と思うシーンがあった。そこでストックDVDを確認してみたら、1作目と2作目はあるのに3作目がない。「どういうこと？」と思って今度は自分のレビューを検索して読んでみたら、思わず納得なこき下ろし方。「史上最低のアクション映画」だって。なるほどねー、それじゃ買わないよねー（笑）。<br />　これから観ようって人はせめて「<a href="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2007-04-05" target="_blank">M:I:Ⅲ</a>」のストーリーだけは把握してから観た方がいいかも。今作。<br /><br />　理由あってロシアの刑務所に収監されていたイーサン（トム・クルーズ）は仲間の手引きで脱獄に成功。新たな任務を与えられる。それは核テロを目論む“コバルト”という人物の情報を入手すること。そのためイーサンはクレムリンへの潜入を果たすが、そこで爆弾テロが発生する。イーサンは何者かの陰謀によってテロ容疑がかけられ、IMFから登録を抹消されてしまう。後ろ盾を失ったイーサンとそのチームは孤立無援の中で、コバルトに迫り、核戦争の危機に立ち向かう。<br /><br />　まるで往年のジャッキー・チェンの映画を観ているようでした。<br />　「アクションの目玉を先に決めてから映画の体裁を整える」<br />　きっとこのスタイルで作られたものだと思います。<br />　ドバイにある世界一高い高層ビル、ブルジュ・ハリーファでアクションを撮る。まずはこう決めて、撮影許可を取り、とりあえずぶら下がったり、落ちてみたり、壁を走ってみたりしたんじゃないでしょうか。撮影の時点では脚本だって完成していなかった可能性があります。<br /><br /></font><img src="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_cfc/dvd-diary/340335_01_01_02.jpg" border="0" alt="340335_01_01_02.jpg" width="553" height="335" /><br /><font size="2"><br />　この一連のアクションシーン、予告編を観たときはCGだろうと思ってました。<br />　ところがメイキングを観る限り、ほとんどが実写。トム・クルーズ以下俳優たちが命がけで撮ってます。CGで処理されたのは命綱のワイヤーを消す作業くらい。これには驚きました。一番驚いたのは高層階の窓を「外していい」って許可したビル側の判断でしたけど（笑）。<br /><br />　純粋にスパイ映画としてどうか、となると「前作よりは良い」と言っておきましょう。<br />　「スパイ大作戦」ですから、突拍子もなくて都合のいいアイテムが続々出て来て、「そんなのありかよ」と悪態をつきたくなるのは事実です。でもそこは見て見ぬ振り出来なければ、本作を観る資格はありません。<br />　問題はそこではなく「骨子となるストーリーラインに矛盾や強引さは無いか？」ということです。<br />　これは正直言うと「あり」ます。もしかして3作目を復習してから観ると、余計にその強引さに気付いてしまうかも知れない。個人的には今回トムが率いるチームのバランスが良かったので、あまり文句も無かったのですが、冷静に振り返ってみたら「一部崩壊していたな」と。痛し痒しだなあ。<br />　<br />　これは映画館で観るに限ります。アクションの数々はカッコ良かった。<br />　でもDVDでも観た方がいい。写真のようなシーンをどうやって撮ったのか、メイキングで明かしてもらえるから。高所恐怖症には身の毛もよだつカットのオンパレードですが、一方でトムの本気度も分かります。やっぱりDVD</font>で映画を観る醍醐味ってメイキングだな、と久しぶりに思った作品でした。<br /><!-- amazon -->
</p><div class="sonet-asin-area"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B007F5JJSM/dvddiary04-22/ref=nosim" target="_blank"><img class="sonet-asin-image" src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/51foiQ98iuL._SL160_.jpg" alt="ミッション：インポッシブル／ゴースト・プロトコル ブルーレイ＋DVDセット（デジタル・コピー付） [Blu-ray]" title="ミッション：インポッシブル／ゴースト・プロトコル ブルーレイ＋DVDセット（デジタル・コピー付） [Blu-ray]" /></a><div class="sonet-asin-info"><p class="sonet-asin-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B007F5JJSM/dvddiary04-22/ref=nosim" target="_blank">ミッション：インポッシブル／ゴースト・プロトコル ブルーレイ＋DVDセット（デジタル・コピー付） [Blu-ray]</a></p><ul><li class="sonet-asin-label">出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン</li><li class="sonet-asin-label">メディア: Blu-ray</li></ul></div></div><div class="sonet-asin-break"><!-- --></div>
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<title>電人ザボーガー（2010年・日本）</title> 
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  <issued>2012-05-12 23:52:45+09:00</issued> 
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<![CDATA[
<p><font size="2">監督・脚本：井口昇<br /><br />　日活も<font size="5" color="#0000FF">「スゴイのに手を出したもんだなあ」</font>これが正直な感想。<br />　とは言え、僕の世代には垂涎もののタイトルです。<br />　オリジナルは1974年から75年にかけてフジテレビ系列で放送された特撮ヒーローアクションで、主演はライダーマンを演じた山口暁さん。「電人ザボーガー」が放映されていた時期には、仮面ライダーX、仮面ライダーアマゾン、仮面ライダーストロンガー、ウルトラマンレオ、イナズマンF、マッハバロン、秘密戦隊ゴレンジャーなどが活躍していました。<br />　僕が「スゴイのに手を出したな」と思ったのはザボーガーがコテコテのB級ヒーローだったからです。なんたって、このビジュアルを観て下さいよ。<br /><br /></font><img src="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_cfc/dvd-diary/img_71463_2961909_1.jpg" border="0" alt="img_71463_2961909_1.jpg" width="281" height="297" />　<img src="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_cfc/dvd-diary/o0219029610967127355.jpg" border="0" alt="o0219029610967127355.jpg" width="219" height="296" /><br />↑このバイクが今風に言うとトランスフォームして、↑こうなるわけです。<font size="2"><br /><br />　<font size="6" color="#FF0000">ムチャでしょ。and野暮ったいでしょ。</font><br />　「おーい、タイヤはどこに行ったんだよー」って子どもながらに思ってました（笑）。<br />　でも、この野暮ったい感じを今楽しもうと思って作ったんでしょうね。なんたって主演が板尾創路ですから。しかも演じているのは主人公の熟年期ですから。熟年期ってなんじゃそりゃ（笑）。<br /><br />　本編は2部構成になっていて、1部は、天才科学者・大門勇（竹中直人）が遺したスーパーロボット「ザボーガー」と共に、悪のサイボーグ組織「Σ」と戦う秘密刑事・大門豊（古原靖久）の活躍を。2部ではその25年後。Σとの闘いでザボーガーを失い、失業者となった大門豊（板尾創路）の苦悩と、再びΣと決するまでが描かれています。<br />　まずは「青年期」と「熟年期」の2部構成にした点に製作陣のセンスを感じます。<br />　「熟年期」というアイディアは、オリジナルへのオマージュを一歩進化させたものと捉えていいでしょう。もし山口暁さんがご存命だったら、この手の作品の“お約束”としてゲスト出演していたはず（それはそれで観たかった）。しかしそれは叶わない中で出たアイディアが「熟年期」だったのではないかと思います。俗にいうリメイク作品は無数にありますが、このアイディアは唯一無二と言っていいでしょう。<br /><br />　ただし作品としてはイマイチ（笑）。<br />　特に「青年期」における大門豊と敵のサイボーグが交わるようなエロティックな演出は気味が悪い。実はこれ同じ日活が手がけた「<a href="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2009-02-13">ヤッターマン</a>」のアイディアをパクっているんじゃないかと思いました。「ヤッターマン」もこれ以上のエロ変態映画だったんですよね。ただあちらは櫻井翔を主演に据えたことと、三池崇史というビッグネームのおかげで、ただの「ド変態エロ映画」が「コンテンポラリー」と解釈されて大ヒットしたわけです。で日活はそれをさらに勘違いして「エロを放り込んでおけば大丈夫</font>」ってことになったんだろうなあ。そうとしか思えないクオリティの低さです。<font size="2"><br /><br />　ザボーガーの「チェンジ」はCGがよく出来ていて不満ナシ。<br />　くだらないエロの要素さえなければ、もう少しまともに観られた気がするのに残念。<br />　でも僕と同世代の人は観てもいい。<br />　エンドクレジットにオリジナル版の映像が使われていて、チョー懐かしいです。</font><!-- amazon -->
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<title>コンテイジョン（2011年・アメリカ）</title> 
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  <modified>2012-05-14T03:12:37Z</modified> 
  <issued>2012-05-10 23:35:42+09:00</issued> 
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<![CDATA[
<p>原題：CONTAGION<br /><font size="2">監督：スティーヴン・ソダーバーグ　脚本：スコット・Z・バーンズ<br /><br />　タイトルはずばり「伝染」。<br />　潔癖性の人が観たらノイローゼになりそうな細かい視点が特徴的で、「ウィルスは如何にして広まって行くか」の一例を目の当たりにするディザスター映画。<br /><br />　香港出張から戻って来た帰宅したベス（グウィネス・パルトロー）は夫・ミッチ（マット・デイモン）の目の前で昏倒し謎の死を遂げる。まもなく幼い息子も同じ症状で死亡。2人の他にも世界中で謎の死を遂げる人たちが続々と現れる。<font size="2">報告を受けた世界保健機関のレオノーラ（マリオン・コティヤール</font></font><font size="2">）や、疾病予防センターのエリン（ケイト・ウィンスレット）が調査に乗り出すが、感染の広がりを止めることは出来ず、世界中がパニックに陥って行く…。<br /><br />　放射能もそうなんですけど、ウィルスも肉眼では確認できないからこそ、「怖い」という面と、「知らぬが仏」という面がありますね。もしウィルスが可視化されたら、私たちの生活は今とは明らかにその様子を変えることでしょう。全員が「超潔癖症」になるのは必至です。<br />　たとえば【電車のつり革】なんか論外中の論外。【エレベーターのボタン】とか【銀行ATMのパネル】、【スーパーの商品】、【自販機から出て来る缶】、【セルフガソリンスタンドの給油ホース】、【公衆トイレのドアノブ】、【コンビニでもらう小銭のお釣り】、【バスの「とまります」ボタン】など、挙げたらキリがありませんが、これらはゼッタイに素手で触らなくなるでしょう。あとは【コンビニで立ち読み】もしなくなるでしょうし、【コインロッカーに荷物】も預けなくなるでしょうし、【アップルストアでマックブック】をいじったりもしなくなるでしょうね。<br />　とにかく普段の生活の中に無尽蔵にある“感染リスク”を考えさせられてしまう作品なのです。ただし「ウィルスの恐ろしさ」を描いたディザスター映画はこれまでにもあったわけで、それらとの差別化がどう成されているかが一番注目すべき点だと思います。<br /><br />　ウィルス系ディザスター映画の基本はバイオハザード（生物学研究で使用される、あるいは使用によって発生する病原体）ですが、ソダーバーグはそこに変化を付けた。これが映画としての体裁はこの1点に支えられています。<br />　「最初の被害者となったベスは、いつウィルスに感染したのか」<br />　それは浮気相手から感染した可能性が高いと、遺された夫には非情な現実を一旦突きつけておいて、ここからソダーバーグは観客の意識を別のところへ誘導します。<br />　「なぜミッチは感染しなかったのか」<br />　ただしこれはドラマの縦軸となる登場人物を殺すわけにはいかない、という映画的な都合を優先したもので、巧く刈り取れていなかったのは残念。<br />　「ワクチンを作ることは出来るのか」<br />　ディザスター映画の定番プロット。さらには数に限りのあるワクチンを巡る人々の諍いも定番中の定番ですが、マリオン・コティヤールとケイト・ウィンスレットというアカデミー女優2人のおかげで、まずまず見応えのある展開をします。<br /><br />　ポイントは映画の着地点です。<br />　ソダーバーグの巧さは最終のシークエンスに集約されていました。最後の最後にベスの感染経路が明らかになるのです。それがまた怖い。<br />　派手な映画ではありませんが、ぜひソダーバーグの手練手管を楽しんで下さい。<br /></font><!-- amazon -->
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<title>八日目の蝉（2011年・日本）</title> 
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  <modified>2012-05-14T03:12:38Z</modified> 
  <issued>2012-04-29 18:15:09+09:00</issued> 
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<![CDATA[
<p><font size="2">監督：成島出　脚本：奥寺佐渡子<br /><br />　原作を手にしたときにはすでに映画化が決まっていたので、かなり具体的な映像を思い浮かべながら読んだ。そして、この秀作をどうやって2時間程度に収めるのかと思っていたのだけれど、それそれは見事にまとめられていて、僕はまず奥寺さんの仕事に感動してしまった。<br /><br />　原作は2部構成になっていて、前半は不倫相手の生後間もない娘を誘拐した野々宮希和子の逃亡生活。後半は４歳まで誘拐犯に育てられ、今は大学生になった秋山恵理菜の葛藤の日々が描かれている。　<br /><br />　映画化に際しては、この2部構成すなわち時系列を放棄している。　<br />　希和子（永作博美）と恵理菜（井上真央）の章をクロスさせることで、映像作品だからこそ出来る、より劇的な演出を試みたのだ。これは大正解だったと思う。のちに恵理菜が辿る「逃亡の軌跡」では余計な説明を省くことが出来て時間の短縮になり、さらに風景の比較によって時の流れを表現することも出来て、まさに一石二鳥だった。<br />　しかしこの作業は並大抵の苦労ではなかったと思う。原作の何を活かして、何を落とすのか。希和子と恵理菜のカットバックはいつどのタイミングで行うのか。考えただけで脳みそが沸騰しそうな作業である。<br /><br />　本作で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を獲った井上真央は、授賞式で「何度も成島監督から逃げたいと思いました」とスピーチしていたけれど、成島監督はきっと“粘る人”だったんだろう。その粘りを垣間見られる重要なシーンが序盤にある。<br />　不倫相手の家に忍び込んだ希和子が、生まれて間もない恵理菜を抱き上げるシーン。<br />　希和子は「ただ子供の顔が観たかった」だけなのに、一転「連れ去ることを決意する」極めて重要なシーンでもある。<br />　成島監督は「泣いている恵理菜を抱き上げる希和子。やがて希和子にあやされて笑う恵理菜」という一連を永作博美と赤ん坊の2ショットで、しかも1カットで撮った。この1カットのために監督は相当「粘った」んじゃないかと思う。<br />　ト書きにあっただろう「笑う恵理菜」は、普通に考えれば赤ん坊を1ショットで撮って、インサート処理する方が楽だ。しかし成島監督は「永作博美の顔を見て笑う赤ん坊」という絵にこだわっている。それは希和子に感情移入させるためだ。<br />　恵理菜と希和子に血のつながりは無い。<br />　恵理菜役の赤ん坊と永作博美も赤の他人である。<br />　つまりこの2組の関係性は同一である。<br />　ならば「原作通り恵理菜と希和子の間には何者も介入すべきではない」と成島監督は考えたんじゃないだろうか。介入とは赤ん坊を1ショットで撮り、インサート処理するという映画の文法を用いることである。<br />　カメラは2人の関係を断つことなく客観に徹してひたすら粘った結果、幸運なことに“映画の神様”が降りて、赤ん坊の絶妙な笑顔を収めることに成功する（ここでの永作の表情も素晴らしい）。こうして観客は希和子への感情移入を果たすのだ。<br />　仮に赤ん坊の顔を1ショットで撮ってインサート処理していたなら。観客は希和子をただの誘拐犯として見てしまう可能性があった。そして原作の意図は伝わることなく、多くの読者を落胆させたことだろう。<br />　この1カットこそが、映画「八日目の蝉」を支えているのだ。<br /><br />　原作と異なるラストシーンにもいろんな意見があるようだ。<br />　僕自身は原作よりもより「赦し」を意識したラストに不満はなかった。<br />　また現実的なことで言うなら、永作博美の老けメイクは成立しなかったとも思う。それでなくとも童顔なのに（こんな41歳、見たことない）永作博美にどんなメイクを施したとしても映画を壊す可能性があった。もちろん原作通りのラストも観てみたい気持ちはあったけれど、これはこれで満足している。<br />　ただし、恵理菜を奪われた恵津子（森口瑤子）の苦しみには深く入り込めていなかった気がしないでもない。子を持つ親として原作を読み、僕は恵津子の背負った“十字架の重さ”にも同情していたからだ。<br />　いずれにしても考えさせられるのは「子どもにとって必要なものとは何か」である。その答えは「愛情」以外に無いが、子どもの一生を左右しかねない未就学期間において親の責任は限りなく重大だと再認識させられた。<br /><br />　永作博美と小池栄子の芝居が絶品。<br />　小豆島のロケーションが美しく劇場で観る価値はあったと思う。<br />　佳作。<br /></font><!-- amazon -->
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<title>バトルシップ（2012年・アメリカ）</title> 
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<![CDATA[
<p><font size="2">原題：BATTLESHIP<br />監督：ピーター・バーグ　脚本：ジョン・ホーバー、エリック・ホーバー</font><br /><br />　この作品のネタ元はコレだそうです。<font size="1"><br /><br />　<font size="2">僕の世代にはすごく懐かしい（でもフォーマ<a href="../../../../_images/blog/_cfc/dvd-diary/lP57VtuiLWK6hBmbdoexzDl72eJkfbmt4t8yenImKBVaiQDB_Rd1H6kmuBWtceBJ.jpg" target="_blank"><img src="../../../../_images/blog/_cfc/dvd-diary/m_lP57VtuiLWK6hBmbdoexzDl72eJkfbmt4t8yenImKBVaiQDB_Rd1H6kmuBWtceBJ.jpg" border="0" alt="lP57VtuiLWK6hBmbdoexzDl72eJkfbmt4t8yenImKBVaiQDB_Rd1H6kmuBWtceBJ.jpg" width="258" height="194" align="left" /></a>ットは健在で、メディアを変えて今なお現役の）「戦艦ゲーム」、いわゆる「BATTLESHIP」。<br />　よくもまあこんなものまでネタにしようと思うよね、ハリウッドも。どこまでネタに困ってるんだか。<br />　でも海軍同士の戦いではありません。<br />　<font size="6" color="#FF0000">海軍対エイリアン</font>です。やれやれ。<br />　有史（映画誕生）以来、一体何度目のエイリアン来襲なのでしょうか。もうそろそろ地球もエイリアンに侵略されてもおかしくない頃じゃないっすかね？<br /><br />　それでもまあ設定に工夫がしてあって、作り物にしてはよく出来てるってケースも過去には多々ありましたからね。それで僕も男（バカ）ですから、こういうのは一応観ておこうかなと思っちゃうんですよ。で、どうだったかというとコレまた信じられない映画でした。<br />　完全に<font size="6" color="#3366FF">脳みそ筋肉SFバカ映画。</font>救いようもありません。<br />　そういえばこの映画の試写状に「◯月◯日まではブログ、Facebookなどでのレビュー掲載はお控え下さい」なんて書いてあったなあ。あれってネット上に酷評が回ることを恐れた映画会社の対策だったのか知らんと、ついつい思っちゃう。だってホントに「リアリティ・ゼロ」なんだもん。<br /><br />　アメリカを始めとする世界各国の海軍がハワイ沖に終結し、大規模な軍事演習を行おうとしていたとき、沖合に正体不明の物体が姿を現す。それはエイリアンの母船だった。<br />　エイリアンは外部からの接触を拒絶するかのように、母船の周囲にシールドを張り巡らせる。そのシールド内にいたのは数隻の駆逐艦だった…。<br /><br />　このあとエイリアンと人間の闘いが延々続きます。ただそれだけです。<br />　主人公であるアメリカ海軍の問題児アレックス（テイラー・キッチュ）が、提督（リーアム・ニーソン）の娘と付き合ってて、結婚の承諾をもらおうとしているというサブネタはありますが、そんなものはどうでもよろしい。<br />　とにかくエイリアンの背景が何も描かれずにドンパチやって、しまいにゃ戦艦ミズーリまで動かしちゃうからね。これはもやはプロパガンダ映画ですよ。「攻めて来た連中は敵」っていう乱暴なロジックで映画は最後まで突っ走るしね。「宇宙戦争」じゃあるまいし、今時もうこんなプロット通用しないでしょ。いい加減にしてよ。<br /><br />　浅野忠信。<br />　意外と良かった。いいポジションだったし、作品の中身は別として、これがいいステップになるんじゃないでしょうか。でも前作は「マイティ・ソー」だったしなあ、超B級映画の常連ってことにならないといいな。<br />　この映画、劇場で観る価値もクソもありません。そもそも観る価値がない。<br />　それでも観に行く男の中の男（バカ中のバカ）のアナタにお知らせ。長いエンドクレジットの最中に席を立たないように。ラストにうんざりするシーンがオマケでついています（笑）。<br /></font></font><!-- amazon -->
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<title>マネーボール（2011年・アメリカ）</title> 
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  <modified>2012-05-14T03:12:38Z</modified> 
  <issued>2012-04-26 00:22:40+09:00</issued> 
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<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2012-04-25">
<![CDATA[
<p><font size="2">原題：Moneyball<br />監督：ベネット・ミラー　脚本：スティーヴン・ザイリアン、アーロン・ソーキン<br /><br />　年俸総額がニューヨーク・ヤンキースの3分の1しかない貧乏球団が、セイバーメトリクス理論（野球を統計学的に分析すること）を取り入れてチームを編成し、2002年には全球団中最高のシーズン103勝をマークするアスレチックスのGMビリー・ビーンを主人公にした実話。<br /><br />　未知数の若者を手間暇かけて主力選手に育たのに、球団がビンボーであるばかりに、選手を金で釣られてしまうといえば、「我が広島東洋カープのことじゃないか！」といまさら気付いて思わずワナワナした観客もいたんじゃないだろうか。<br />　FA制度が導入されてから広島を出て行った選手は川口和久（読売）、江藤智（読売）、金本知憲（阪神）、新井貴浩（阪神）、黒田博樹（ドジャース／現ヤンキース）の5人。個人的に江藤はいらんかったけど、2007年に黒田と新井が出て行ったときは「あー、オレが生きている間にカープが優勝することは無くなったなあ」って立ちくらみするほどショックだった。<br />　でも今日この映画を観て、ちょっと勇気が湧いた。特に今タイミングよく“極悪金満球団”読売が最下位に喘いでいるから、胸のすく思いだった。チーム編成を上手くすれば、カープにだって優勝の目はあるってことだ！（と信じたい）。</font><font size="2"><br /><br />　僕は単純にGMという仕事の中身を初めて知った（それだけでも観た甲斐があった）。<br />　GMって多分「財布を預かっている人なんだろう」くらいに思っていたんだけど、オーナーから雇われていることを忘れれば、GMこそがすべての権限を持つ雇用者であり、彼以外は非雇用者ということなんだね。<br />　劇中チーフスカウトにクビを言い渡すシーン（気持ちよかった）があったり、契約年数問題で監督ともめたり（リアリティがあって面白かった）するんですけど、そこまでの権限が与えられているのは、GMが最終的な“責任の所在”であるからなのね。やっぱり“責任の所在”って大事だな。誰も責任を取らない組織、団体はそりゃ腐って行くわ。<br /><br />　「金で人生を決めて失敗した男が、以来金では人生を決めないことにしていた」というテーマはとても良かった。孤高のGMを演じるブラッド・ピットもハマっていて見応えがあったし、ビリーがセイバーメトリクスを取り入れるきっかけを作り、のちにビリーの相棒になるピーター・ブランドを演じたジョナ・ヒルも良かった。あ、そうそう監督役のフィリップ・シーモア・ホフマン。坊主頭だったせいで最初は誰か分からなかったんだけど、いいカンジに腹の出た初老の監督っぷりで、これもとても良かった。<br />　とまあ褒めてばかりなんだけど、今になって思えば何かひとつパンチが足りなかったような気もする。それはきっとビリー・ビーンが極限まで追いつめられていなかったからじゃないか。ビリーとピーターはすべてのアゲインストをモノともせず、その風向きを2人で180度変える、という部分のカタルシスは欠けていたかも知れない。<br />　ただ、与えられた仕事に全力を尽くす男の生き様は楽しめた。<br />　冷静に考えたとき、このビリー・ビーンを雇う金もカープにはないだろうなと思ったら急に悲しくなったけど（笑）。<br />　試合の再現シーンが大したことないので、ホームシアターで充分。</font><!-- amazon -->
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<title>モテキ（2011年・日本）</title> 
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  <modified>2012-05-14T03:12:38Z</modified> 
  <issued>2012-04-22 02:41:31+09:00</issued> 
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<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2012-04-22">
<![CDATA[
<p><font size="2">監督・脚本：大根仁<br /><br />　世間でやたらに「面白い」という評判が立っていたので、「どんだけ〜（古いね）」と思いながら観てみたが、なるほど確かに面白かった。<br />　テイストは完全に宮藤官九郎。テレビマン監督による編集のテンポも歯切れよく、観客に何も考えさせずに「モテキ」の世界へと引きずり込んで行く。特に序盤30分のロケットスタートは見事だった。<br /><br />　31歳セカンド童貞の藤本幸世（森山未來）に2度目のモテキが来ると言うハナシ。<br />　ポスターなどのアートワークを観る限り、長澤まさみ、麻生久美子、仲里依紗、真木よう子の4人からモテるのかと想像するが、実際には長澤まさみと麻生久美子の間で揺れる森山未來という図式である。<br />　さて本作最大の見どころは“エンジェル”長澤まさみだ。<br />　言っておくが“小悪魔”ではない。小悪魔は狙ってやっているが長澤まさみは、あ、いや、長澤まさみが演じた松尾みゆきは狙ってないのだ。あ、いや「狙ってないように見せることが出来る」のだ。「だったら小悪魔どころか悪魔じゃないか」という御仁もおられるだろうが、そんなテクニックを見透かせないおバカさんたちにとっては“エンジェル”以外の何者でもない。いやぁ、こんなことが分かるようになるなんてオレも大人になったもんだ。<br />　ただ裏を返せば、長澤まさみはこれを狙ってやっている（演じている）のだから、はやり流石なのだ。そんな彼女が「女を武器」にし出したら、これはもう誰も敵わないと思う。もしかしたら長澤まさみは「モテキ」で一皮むけて、最強の若手女優になったかも知れない。オレはついて行くぜ。<br /><br />　長澤まさみが突き抜けているから、誰からもあまり評価を聞かなかったけれど、実は麻生久美子もスゴく良かった。彼女は俗にいう「重い女」を演じたのだけれど、軽い女も演じられる彼女の「重い女」を観て、やっぱりこの女優は只者じゃないなと思った。「朝ご飯作ろうか？」という重いセリフも抜群でした。<br />　そして女癖の悪い中年を演じさせたら、今この人の右に出る人はいないだろうリリー・フランキー。いいなあ、オレもこんな中年になりたかったなあ（笑）。<br /><br />　恋愛ドラマだけに、ちょっとマジメな展開も避けられなくて、そこで中だるみしたのが残念。<br />　個人的には幸世が散々な目にあって、男としては成長するんだけど、でも当分はセカンド童貞なんだろうなあ、って思わせる展開で終わって欲しかった。まったく残念（というか癪に障る）。<br />　今の時代の「恋愛映画」という意味でも観る価値はある。<br />　“エンジェル”長澤まさみを十二分に堪能するためには、劇場での鑑賞がベストだった。くそう。</font><br /><!-- amazon -->
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<title>監督失格（2011年・日本）</title> 
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  <modified>2012-05-14T03:12:38Z</modified> 
  <issued>2012-04-22 02:33:00+09:00</issued> 
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<![CDATA[
<p><font size="2">監督：平野勝之　プロデュース：庵野秀明<br /><br />　2005年に34歳の若さで急逝した女優・林由美香のドキュメンタリー。<br />　監督の平野勝之は一時期、林由美香と不倫関係にあり、1997年にアダルトビデオ作品「東京〜礼文島 41日間自転車ツーリングドキュメント わくわく不倫旅行 200発もヤッちゃった」を発表。のちにこの作品を再編集した「由美香」が劇場公開され話題になったのは僕も知っていた（但し未見）。<br /><br />　さて本作はぴあフィルムフェスティバルの常連人気監督だった平野勝之が、当時人気絶頂にあった林由美香を主演に初AV作品を撮ってから、今日に至るまでのドキュメンタリーになっている。言うなれば林由美香のドキュメンタリーというより、林由美香を喪ってしまった平野勝之のドキュメンタリーである。<br /><br />　正直言って僕はこの記事を書き始めるのに3日かかってしまった。<br />　「放心した」というのが一番正しいと思う。<br />　放心した理由は2つある。<br />　ひとつは、林由美香が亡くなっていた現場でカメラが回っていたこと（後述するが、ここでカメラを回しっ放しにしたのはプロの仕事だと思った。どんな現場でも撮るべきか否か悩んだときは絶対に撮るべきなのだ）。誤解のないように言っておくと、遺体が映っているわけではない。林由美香が亡くなっていた現場に踏み込むシーンがあって、平野勝之監督が林由美香の遺体を発見するという衝撃的な展開はある。<br />　僕が放心したのは同行した由美香ママ（ラーメンチェーン「野方ホープ」の社長）の姿だ。それは人が一生に一度見るか見ないかのホンモノの「慟哭」だった。観客はどうすることも出来ない。ただ由美香ママの慟哭にうろたえるのみである。ここではおそらく観客全員の心拍数が100を超えるだろう。<br /><br />　<font size="1"><font size="2">放心したもうひとつの理由は、「大事な人を喪う」ことで心のバランスを崩してしまう実例を目の当たりにしたからだ。言うまでもなく平野勝之監督のことだが、実は林由美香が亡くなってから本作に取りかかるまでの5年間、平野監督は一度も泣いていなかったのだと言う。観ればそれは「心が死を受け容れようとしない」状態だったことが分かる。本作の仕上げにあたって平野監督はカメラの前で「由美香と別れたくない」と号泣するのだ。<br />　意外と多くの人が、自分にも思い当たる節があるのではないかと思う。僕にもあった。だから自分のことと重ねて「別れたくない」人を想い、放心したのだ。<br /><br />　これは「喪失」と「再生」の物語である。</font><br /></font><br />　「監督失格」のタイトルは、先の「わくわく不倫旅行」を撮っている最中、2人でケンカをしたときにカメラを回さなかった平野に対して、林由美香が言った「監督失格ね」から来ている。<br />　あの場所でカメラを回しっ放しにしたのは、「後でまた由美香に『監督失格』と言われないように」、つまり「願わくば蘇生して欲しい」という平野監督の一縷の望みだったような気がしてならない。<br /><br />　これは映画監督の渾身の仕事だからこそ、映画館で観るべき。<br />　日本のドキュメンタリー映画史に名を残す傑作。<br /></font><!-- amazon -->
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<title>ツレがうつになりまして。（2011年・日本）</title> 
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  <link rel="service.edit" type="application/x.atom+xml" href="http://blog.so-net.ne.jp/atom/blog_id=11605/entry_id=52595702" title="ツレがうつになりまして。（2011年・日本）" />
  <modified>2012-05-14T03:12:38Z</modified> 
  <issued>2012-04-20 23:23:21+09:00</issued> 
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  <dc:subject></dc:subject> 

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<![CDATA[
<p><font size="2">監督：佐々部清　脚本：青島武　原作：細川貂々<br /><br />　実録コミックエッセイを原作とした作品。<br />　実写化は2009年に放送したNHKのドラマ以来2度目。<br /><br />　真面目で几帳面なサラリーマン髙﨑幹男（堺雅人）は、ある日突然妻の晴子（宮﨑あおい）に「死にたい」とつぶやいた。体調不良を風邪か何かと晴子は思っていたが、病院での診断結果は「うつ病」。原因は仕事上のストレス。そこで晴子は“ツレ”に会社を辞めるよう提案するのだが…。<br /><br />　想像していた以上にストレートな「うつ体験記」で、「多くの人にうつ病のことを知ってもらいたい」という想いに満ちた、いい作品だったと思います。<br />　たとえば、<br />　うつ病は誰もがかかる可能性があること。<br />　本人も周囲もうつ病と気付かないケースがあること。　<br />　治療のためには周囲の協力が不可欠であること。<br />　そして、治すためには「がんばらない」こと。<br />　など基本中の基本情報が「ツレの場合」として描かれています。<br />　ただ基本情報であるが故に本作は、一歩間違うと“うつの啓蒙ビデオ”になってしまう可能性がありました。実際その境界線を何度も彷徨います。しかしギリギリ踏みとどまって、ちゃんと“見世物（ドラマ）”となり得たのは主人公の2人、宮﨑あおいと堺雅人の芝居のチカラです。<br /><br />　まずは堺雅人の芝居が絶品でした。<br />　うつ病患者をどう演じればよいか、その芝居に正解は無いと思います。<br />　そこで堺雅人は「うつ病を知ってもらう」という大テーマに則って“分かり易さ”を優先し、多くの人に共感を得られる芝居を目指したのだと思います。<br />　そのためにまず減量をし、ひ弱さを獲得することにした。姿勢はやや猫背で通し、頬骨筋を挙げて顔に皺を作り、あごを引いて目線を落とす。セリフのボリュームは通常よりも2割ほど抑えて、抑揚を排除する。こうして観る側に分かり易い“ツレ”が完成しますが、ここまで作り上げるのにも、ずいぶんと時間がかかったと思います。これから先、うつを演じる役者は「本編の堺雅人を参考にした方がいい」とアドバイスしたくなるほど素晴らしかった。<br /><br />　対する宮﨑あおいの芝居はまるで“横綱相撲”。観ていて本当に安心できる芝居でした。<br />　片方の“ツレ”が不安定であるから、バランスから言っても“ハルさん”には安定感が必要だったと思います。それを宮﨑あおいは「隙なく演じる」ことで最低限の安定感を確保した。<br />　不安そうな顔、ホッとした顔、慈しむような顔、どれをとっても宮﨑あおいにしか出来ない、そしてこんな奥さんが隣にいたら、きっと“ツレ”のうつも完治するだろうと安心出来る表情。正直言って惚れ惚れしながら観てました。こんなこと宮﨑あおいでなければ出来ません。さすが篤姫（笑）。<br /><br />　脚本について。<br />　うつ病と付き合いのある人たちにも配慮した優しい言葉に満ちていたと思います。<br />　先にも挙げた「がんばらない」はもちろん、僕が気に入ったのはこんなセリフ。ハルさんが行きつけの骨董屋さんで明治時代に作られたニッキ水のビンを眺めながら、こうつぶやきます。<br /><br />　「割れなかったから今ここにある。割れなかったことに価値があるってことか」<br /><br />　僕はこれを「うつ」と「自死」を関連づけたセリフだと解釈しました。<br />　日本は先進国の中でも稀な自殺大国です。自ら死を選んでしまう人が年間3万人以上もいる現実。これはうつと無縁ではないと言われています。とにかく生きていれば、その先にきっといいことがある。生きているだけでそれだけで価値がある。そんなことを訴えるシーンとセリフだったと思います。<br /><br />　もうひとつ僕が気に入ったセリフ。<br />　ハルさんが、自宅を訪ねて来た母親（余貴美子）にこんなことを言います。<br /><br />　「私最近思うんだ。ツレがうつ病になった原因じゃなくて、うつ病になった意味は何かって」<br /><br />　後ろ向きじゃなく、前向きないいセリフです。<br />　最後は先日から始めた新たな評価です。<br />　「劇場で観る価値のある映画か否か」<br />　宮﨑あおいと堺雅人のキャスティングはテレビドラマでは成立しなかったでしょう。だから映画化されたことは良かった。美術監督若松孝市さんの作った自宅セットも素晴らしい。ただDVDで充分だと思います。どうせならうつの人にも周囲に気兼ねすること無く、自宅で楽しんでもらえればと思いました。<br /></font><!-- amazon -->
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<title>探偵はBARにいる（2011年・日本）</title> 
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  <link rel="service.edit" type="application/x.atom+xml" href="http://blog.so-net.ne.jp/atom/blog_id=11605/entry_id=52589085" title="探偵はBARにいる（2011年・日本）" />
  <modified>2012-05-14T03:12:38Z</modified> 
  <issued>2012-04-18 19:18:20+09:00</issued> 
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<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2012-04-17">
<![CDATA[
<p><font size="2">監督：橋本一　脚本：古沢良太、須藤泰司</font><font size="1"><br /><br /><font size="2">　「探偵」という題材はフィクション・エンタテインメントの王道だ。<br />　ホームズ、ポワロ、マーロウ、スペード、明智小五郎、金田一耕助、浅見光彦etc…。世界中に一体何人の探偵がいるか知らないが、この手の作品に触れたことがない人はいないと思う。<br />　多くの作家が「探偵」を起用する理由は、組織に縛られないアウトサイダーという立場を活かして、どんな場面でも書き手の思うがまま動かすことが出来るからだが、一方でこの自由度をどう活かすか（キャラクター、舞台、事件などの設定）が作品の善し悪しを決める“諸刃の剣”でもある。<br /><br />　本題に入る前にもう一席。<br />　僕はかれこれ8年も映画のレビューを書いてるけれど、先日「<a href="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2012-03-16" target="_blank">STAR WARS エピソードⅠ／ファントム・メナス3D</a>」を観たとき、映画を評価するにあたって、僕はとても重要な“物差し”を忘れていたことに気が付いた。それは「この映画は劇場で1800円払って観る価値があったか否か」という“物差し”だ。<br />　基本中の基本だった。だって「映画」なんだから。<br /><br />　ということで本題。<br />　その“物差し”で言うなら、本作は「映画館で観る必要のない映画」だった。<br />　何と言っても、仕上がりとして2時間ドラマの域を出ていない。カット割りもカメラワークもいかにもテレビ的で、劇盤の出来もイマイチ。もちろん2時間ドラマの企画だったら、小雪も松田龍平も出てないだろう。だけど大泉洋の主演にこだわるなら（プロデューサーがそう喋っていた）2時間ドラマで充分。ましてや小雪がキャスティングされたおかげで「オチが読める」というリスクまで背負うことになるのだから、もはや映画でやる意味すら分からなかった。<br />　「推理小説実写化の難しさは、まずキャスティングにあり」の典型だったと思う。<br /><br />　その大泉洋の芝居も観ていられない。<br />　バラエティで名を馳せた人で、かつ舞台の人である。行間を読ませるような芝居には長けていない。大きなスクリーンで観たとき、彼の過剰な芝居はよりオーバーに、早いハナシがクサい芝居に見えたことだろう。だから映画館で観るまでもないと僕は思う。<br />　一方で松田龍平の芝居は劇場向きだと思った。<br />　まず父・優作譲りの低音の声がいい。これは音響システムの整った劇場で聴きたかった（と言いつつ僕はこの映画をヘッドフォンで聴いたので、それなりに堪能した）。また小さな芝居、特に細かな表情も劇場で観るとより楽しめたかも知れない。<br /><br />　僕は本作を観て、ガイ・リッチーの「<a href="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2010-08-08" target="_blank">シャーロック・ホームズ</a>」がなぜあそこまでアクション映画になったのか、の理由が分かった。単なる謎解きカタルシスだけでは、劇場に客を呼べないからだ。<br />　日本の探偵映画を観て、ハリウッドの探偵映画の謎が解ける。<br />　なかなかいい推理が出来たかも。<br /></font></font><!-- amazon -->
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<title>人情紙風船（1937年・日本）</title> 
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  <modified>2012-05-14T03:12:38Z</modified> 
  <issued>2012-04-17 13:08:39+09:00</issued> 
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<![CDATA[
<p>監督：山中貞雄　脚本：三村伸太郎<font size="2"><br /><br />　「山田洋次が選んだ日本の名作100選〜家族編〜」の1本。<br />　監督の名前は「なんとなく見たことがあった」程度だったのですが、聞けば小津安二郎、黒澤明、新藤兼人と同世代の監督で、天才と言われながらわずか28歳で夭折した人だったそうです。22歳（！）で監督デビューし、実働5年で26本の作品と手がけたそうですが、現存するフィルムはわずかに3本。本作はその内の1本にして遺作だそうです。<br />　脚本を担当した三村伸太郎は、歌舞伎の世話物「梅雨小袖昔八丈〜髪結新三〜」を脚色したそうですが、オリジナルは落語の人情話「髪結新三」で、幕末から明治にかけて活躍した歌舞伎狂言作者、河竹黙阿弥が歌舞伎に仕立てたのだそうです。「カバー」って昔から行われてたんですね。<br /><br />　ある日、江戸の貧乏長屋で浪人の首つりが起きる。<br />　長屋の住人は「侍らしくなぜ腹を斬らない」とウワサするが、食うに困っていた浪人のそれは竹光だったという。長屋の住人である髪結いの新三（中村翫右衛門）は、長屋の住人で通夜を出してやろうと大家に掛け合い金をせしめて、何のことは無いどんちゃん騒ぎをする始末。<br />　長屋にはもう1人浪人がいた。海野又十郎（河原崎長十郎）は亡き父の知人、毛利三左衛門（橘小三郎）を頼って仕官の口を頼もうとするが、体よくあしらわれる毎日。その毛利三左衛門は町で一番羽振りのいい質屋の娘を、高名な武家に嫁入りさせようと、質屋の主人と画策している。しかしその娘は番頭とできていた。<br />　この町は弥太五郎源七（市川笑太朗）というヤクザの親分が牛耳っていて、髪結新三も海野又十郎も訳あって痛めつけられたことがあった。そこで新三は源七を一泡吹かせようと、ある行動に出るのだが…。<br /><br />　ストーリーの説明にずいぶん字数を割きましたが、ご覧の通りちょっと入り組んでいるんです。ただ必ずA対Bという図式でストーリーが展開するようになっていて、この辺りがいかにも落語っぽい。<br />　構造はさておき、ドラマとしてはなかなかよく出来た作品でした。<br />　特に江戸時代が安泰であったばかりに侍が生き難い世の中になり、一方で商人が力を持ち始め、資本主義社会の到来を予感させる。これだけで純粋に見ていて面白かった。しかも、思わず言葉を失うほど意外な結末。戦前の商業映画とは思えないテイストに軽いショックも覚えました。<br /><br />　</font><font size="2">監督の演出にも感心。<br />　のびのび生きる町民と、肩身の狭い浪人のコントラストが、晴天と雨天、昼と夜というシーンの使い分けによって一層際立ち、観客に脚本以上のインパクトを与えています。<br />　また焼け野原になる前の戦前だからこそ撮れたロケーションがリアリティがあっていい。個人的に気に入ったのはモノクロ映画なのに抜けるような青空を意識して取り込んだアングル。戦前の日本の風景をイメージさせるフォトジェニックなカットが沢山ありました。<br />　なるほど山中貞夫は「映画を撮るために生まれて来た人」だったかも知れません。こんな才能を戦争で失うなんて本当に惜しい。この人が生きていたら、日本映画史は大きく書き換えられたことでしょう。<br />　佳作。<br /></font><!-- amazon -->
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<title>裸の島（1960年・日本）</title> 
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  <modified>2012-05-14T03:12:39Z</modified> 
  <issued>2012-04-07 12:14:30+09:00</issued> 
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<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2012-04-04">
<![CDATA[
<p><font size="2">監督・脚本・美術：新藤兼人<br /><br />　「山田洋次が選んだ日本の名作100選〜家族編〜」の1本。<br />　新藤兼人監督の自己資金350万円で製作された自主映画です。瀬戸内海の孤島に暮らすとある家族の物語を、一切セリフなしで描いた意欲作。<br />　この「セリフなし」が効いたのか、モスクワ国際映画祭でグランプリを獲得し、これをきっかけに世界中で高い評価を得て、最終的に64ヶ国で配給されるという快挙も成し遂げました。<br />　日本では自主製作映画に配給会社が興味を示さず、名画座や貸しホールでの自主上映だったようです。そんな「日本のメジャーが黙殺した映画」が、海外で高い評価を得たのですから、独立プロの映画人たちは、おそらく皆が溜飲を下げたことでしょう。<br />　確かに商業映画と呼ぶには地味な作品です。しかしそこには「与えられた環境の中で懸命に生きる」人たちの過酷な日常が、圧倒的なリアリズムを持って描かれていて、観る者を捉えて離さない力に満ちていました。<font size="2">　<br /><br />　瀬戸内海に浮かぶ小さな島に家族4人が暮らしていた。<br />　その島には電気はおろか水道もなく、畑を耕すために千太</font></font><font size="2">（殿山泰司）とトヨ（乙羽信子）は毎日船を漕ぎ、隣の島まで何度も水を汲みに行く。夫婦の労働のほとんどはこの作業に費やされていた。<br />　長男の太郎（田中伸二）と次郎（堀本正紀）の仕事は米を炊くことと、ドラム缶風呂を焚くこと。そんな代わり映えのしない毎日を送る中、長男の太郎が高熱を出して倒れてしまう…。</font><font size="2"><br /><br />　僕は「一所懸命」という言葉を思い出しました。<br />　これは「一つの所に命を懸ける」農民を指した言葉だと、ある人から聞いたことがあります。千太とトヨはまさに一所懸命な夫婦。貧しい土地で春は麦、夏は芋を育てるため、見るからに3キロは離れていそうな隣の島まで、手漕ぎの船で水を汲みに行くのです。しかも家族が暮らす島には平地がほとんどなく、船着き場から畑まで天秤棒で2つの桶を担ぎながら、険しい道を上り下りしなければなりません。<br />　「生きるとはなんと過酷なことか」<br />　誰もが間違いなくそう思います。そして、そんな毎日の中に新藤監督は「小さな幸福」と「大きな不幸」を用意します。<br />　小さな幸福は2人の子供が大きな鯛を釣り上げること。<br />　喜んだ家族はその鯛を町まで売りに出かけます。なかなか買い手がつかない中、ようやく引き取ってもらったわずかな金で、家族四人はライスカレーを食べます。このシーン、他人から見ればなんでもない光景ですが、この家族にとっては幸せに満ちたシーンになっています。このシーンで新藤監督は、皆にコップに入った水を何度も飲ませています。実はこれ以前に島での食事シーンもあるのですが、そこでは誰も水を飲んでいません。これは当たり前のように水が飲める幸せを観客に気付かせようとした監督のメッセージだったと思います。<br />　大きな不幸は長男の死（ここから乙羽信子さんの芝居が一気に凄みを増します）。<br />　「人は何のために働き、何のために生きるのか」<br />　これが本編の主題です。<br />　本作が世界64ヶ国で配給された一番の理由は、人類共通のテーマから一瞬たりとも目を逸らさず、真正面から向き合った真摯な作品だったからでしょう。<br /><br />　映像作家・新藤兼人の真骨頂と言える1本です。</font><br /><!-- amazon -->
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<title>アリラン（2011年・韓国）</title> 
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  <modified>2012-05-14T03:12:39Z</modified> 
  <issued>2012-03-31 16:47:53+09:00</issued> 
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<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2012-03-29">
<![CDATA[
<p><font size="2">脚本・監督・主演・製作・撮影・録音・編集・音響・美術：キム・ギドク<br /><br />　キム・ギドク3年ぶりの新作は「セルフ・ドキュメンタリー」だと何かで読んでいた。<br />　でもそれがいつ、どこで観られるのかまでは知らずにのほほんとしていたら、3月30日まで渋谷のシアター・イメージフォーラムで、と気付いたのが3月29日の昼前。30日はゼッタイに観に行けないスケジュール。ならば今日しかあるまいと仕事を放り出して渋谷まで飛んで行く。15時の回。<br />　渋谷駅を降りて道玄坂を上がりながら、こんな時間帯に映画を観ることに対して引け目を感じている自分に気付く。「映画は娯楽」という意識がどこかにあるからだろうか。もちろんそんなことを差し引いても観るべき価値があると信じた作品のみ、こんな時間だろうとなんだろうと観て来た。<br />　「映画が好きなんだ。観たい映画があるんだ」<br />　僕は自分にそう言い聞かせながら初めての劇場にたどり着く。そこはギドク作品を観るにはもってこいの小さな小屋だった。<br />　それにしても最近新作を観ないと思っていたら、彼は田舎に引きこもって隠遁生活を送っていたのだと言う。一体なぜか。その答えがここにある。<br /><br />　キム・ギドク15作目となる映画「<a href="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2009-09-22" target="_blank">悲夢</a>」。オダギリジョーを主演に迎えたこの作品の撮影中、1人の女優が命を落とす寸前の事故が起きる。自殺のシーンを撮っているとき、その女優は誰も助けることが出来ない状態で首を吊ったままになってしまったのだ。慌てて飛びついたギドクのおかげで最悪の事態は避けられたが、ギドクはこの事故に大きな衝撃を受け、その後韓国映画界から姿を消してしまう。<br />　韓国国内では「失踪説」や「廃人説」が流れる中、ギドクは将来のためにと買っておいた、とある田舎の掘っ立て小屋にいた。そこでギドクは3年もの間、これまでの人生を振り返りながら、映画に対する自身の想いを整理していた…。<br /><br />　ギドク作品を1本も観ていない人に、この作品はまったく意味をなさない。だからこのレビューを読む必要も無いし、映画を観る必要も無い。<br />　ただ少なからずギドク作品の「色」を知っていて、ギドク作品が世界的な評価を受ける一方、韓国国内での興行成績は芳しくなく、作品に対する評価もまっ二つに分かれていることを知る人は、観ると驚くと思う。<br />　<font size="6" color="#FF0000">なんて映画に対して純粋なんだ、</font>と。<br />　ギドクは語る。<br />　<br />　「私は今、映画を撮れない。だから自分を映画にして撮っている。その中で、私自身の人生を語り、映画監督キム・ギドクと人間キム・ギドクを語る。これはドキュメンタリーでもドラマでもあり、ファンタジーでもある。（中略）何の計画もないが、今、何かを撮らなければ幸せになれないから、自分を撮っている」<br /><br />　セルフ・ドキュメンタリーだと思って観ると、一瞬何が起きているのか戸惑う。<br />　これは「セルフ・ドラマ」だと思って観るのがいい。事実、ギドクは自分の生活の場をロケ地に、自分の肉体を俳優にして、ドラマを作ったのだ。<br />　ギドクの声が、ほんの1時間ほど前の僕の声に重なる。<br />　「映画が好きなんだ。撮りたい映画があるんだ」<br />　こんな映画観たことない。これほど監督の想いが爆発した作品も観たことがない。<br />　ある意味、映画史初の「衝撃作」にして「傑作」だと思う。<br /><br />　テクニカルな目線で観ると実は「映画の作り方」も分かるようになっている。<br />　すべてギドクの自作自演である。映像に映っていないところでギドクはカメラを設置し、アングルを決め、必要なインサートカットを収録し、編集をする。ギドクの動きが手に取るように分かるので、想像力が豊かであれば、映画の簡単な作り方は、本作を観るだけで分かるだろう。ギドクがカメラのスタートボタンを押し、ストップボタンを押している姿を想像すると、彼が一種のリハビリに励んでいるようにも見えて面白い。<br />　とまれ、これほど「映画愛」を告白した人もそうそういないのだ。<br /><br />　この作品を境にして、このあとキム・ギドク第二章が始まるのだと信じたい。<br />　新作「アーメン」も早く観たい。<br /><br /></font><img src="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_cfc/dvd-diary/341098_01_02_02.jpg" border="0" alt="341098_01_02_02.jpg" width="458" height="257" /></p><a name="more"></a>
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<title>王将（1948年・日本）</title> 
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  <modified>2012-05-14T03:12:39Z</modified> 
  <issued>2012-03-29 00:59:00+09:00</issued> 
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<![CDATA[
監督・脚本：伊藤大輔　原作：北条秀司<br /><font size="2"><br />　立て続けに「山田洋次が選んだ日本の名作100本〜家族編〜」の1本。<br />　「王将」と言えば僕たちの世代は餃子じゃなくて、村田英雄先生の大ヒット曲「♩吹けば飛ぶよな将棋の駒にぃ〜」がすぐに思い出されるわけですが、この曲は1962年に三國連太郎主演で制作された映画「王将」の主題歌だったそうです。これ実はリメイクで、1948年に阪東妻三郎主演で制作された本作がオリジナルでした。<br /><br />　主人公は坂田三吉。<br />　僕は彼が「将棋指し」であると言うこと以外は詳しく知らず本作を観ましたが、いやコレはなかなか面白かった。</font><font size="2"><br /><br />　ときは明治末期。天王寺のわらじ職人坂田三吉（阪東妻三郎）は、三度のメシより将棋好き。あちこちの大会に顔を出すため本業はおろそかになり、それどころか参加費を工面するために家財道具を売りさばく始末。<br />　妻の小春（水戸光子）はそんな三吉に愛想を尽かし、娘の玉江を連れて飛び込み自殺を図ろうとするのだが、ふいに三吉の想いを理解した小春は「やるからには日本一の将棋指しになって」とハッパをかける。<br />　晴れてプロ棋士となった三吉は、かつて対戦して破れた東京の関根名人打倒に邁進して行くのだが…。<br /><br />　坂田三吉が実在の人物だけに「事実関係と異なる点がある」という評価もあるようですが、ここでは純粋に映画作品としての部分を評価したいと思います。<br />　とにかく坂田三吉のキャラ設定がハチャメチャで面白いです。<br />　序盤、設定が夏ということもあって、普段の三吉は手ぬぐいを3枚ほど縫い合わせたものを羽織っているだけ。下はステテコ一丁という貧乏を絵に描いたような出で立ちをしています。それでいて将棋バカですから、テレ朝の「銭形金太郎」的に言うなら、まさに将棋ビンボーさん（笑）。何を思いついたのか夜中にむくりと起き上がり、月明かりしかない外で将棋の手を考えるような人なのです。良く言えば「純粋無垢な将棋バカ」を阪東妻三郎が豪快かつ繊細に演じています。ドラマ以外で最大の見どころは阪妻（ばんつま）の芝居だと言っていいと思います。<br /><br />　将棋指しの物語ですが、山田洋次監督が選んだように基本は「家族の物語」です。<br />　将棋の展開をじっくり見せるという演出はなされていません。それどころか三吉と妻・小春、三吉と娘・玉江という家族の物語に軸足が置かれています。このバランスが「将棋を知らずとも」充分楽しめる大きな要因でしょう。少なくとも僕は将棋が指せません。でも充分面白かったのです。<br /><br />　豪快で破天荒な人間のドラマは観客に勇気と力を与えてくれます。ただそれは主人公の生き様というよりも、主人公を支える家族の生き方が観客の胸を打つからだと思います。<br />　アホな男にはまともな家族がおらんとアカンなあ、と自分のことをしみじみ顧みた1本でした。<br />　リメイク作も観てみたい。<br /></font><br /><!-- amazon -->
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<title>風の中の子供（1937年・日本）</title> 
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  <modified>2012-05-14T03:12:39Z</modified> 
  <issued>2012-03-24 22:55:24+09:00</issued> 
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<![CDATA[
<p><font size="2">監督：清水宏　原作：坪田譲治　脚色：斎藤良輔<br /><br />　「山田洋次監督が選んだ日本の名作100本〜家族編〜」の1本。<br />　観るのは2度目です。今夜そうとは知らずに観て、ところどころ「ん？なんだか観た記憶があるぞ」と思いながらエンドマークまで行きました。観終わってすぐ自分のレビューを検索したら見事記事が出て来て、しかも読んでみたら僕の分析が浅くてビックリ（笑）。というわけでここにリライトさせて頂きます。<br /><br />　小学5年の善太（葉山正雄）と小学1年の三平（爆弾小僧／横山隼）の兄弟は夏休みを迎えた。<br />　兄・善太に比べて弟・三平は通知表の成績が悪かった。母（吉川満子）はそれを咎めたが、父（河村黎吉）は「子供は元気なことが一番」と寛大だった。そんな父が公文書偽造の疑いで警察に連行されてしまう。稼ぎがなくなったせいで生活は苦しくなり、三平は叔父に引き取られ、兄弟別々で暮らすことになる。一緒にいればケンカばかりしていた2人だったが、善太と三平は互いに寂しさを募らせて行く…。<br /><br />　監督名で観ました。<br />　というのも僕は清水作品を過去に3本観て、すっかりファンになっていたからです。<br />　戦前の日本映画黄金時代に作られたロードムービーの傑作「<a href="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2009-07-15" target="_blank">有りがたうさん</a>」（1936年）。草なぎ剛主演映画「<a href="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2009-09-21" target="_blank">山のあなた 徳市の恋</a>」（2008年）のオリジナルで、情緒豊かなヒューマンドラマのこれも傑作「<a href="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2009-09-06" target="_blank">按摩と女</a>」（1938年）。そして開戦の年に公開された「<a href="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2009-07-30" target="_blank">簪</a>」（1941年）。<br />　清水宏監督は、人間関係の中で生まれる（ともすれば見過ごしてしまいがちな）些細な事柄をすくい上げ、人の持つ「思いやり」や「不人情」を紡いで見せることに長けた、とても素晴らしい監督だと思います。<br />　そんな清水監督が本作では子供を主人公にして「大人社会と子供社会の関係性」を描いています。<br />　今回は親になってから観たせいもあって、子供がいかに親を観て育ち、いかに親の影響を受けているかを嫌というほど思い知りました。前回のレビューにも書いた通り、「子供は親の傘下で生きている」ことに変わりはありませんが、家庭環境が子供の成長（特に精神面）に及ぼす影響は計り知れないと言うこと。子を持つ人たちには是非再確認して欲しいテーマが本作には貫かれています。<br /><br />　善太と三平の2人が離れて暮らすようになってからの描写は切ないシーンの連続です。<br />　中でも善太が「三平がいる体でかくれんぼをする」シーンと、叔父の家に引き取られた三平が「大きな木の上に登って見えない自宅の方向を眺めている」シーンは子役2人の芝居も手伝って、激しく心を揺さぶられました。特に三平が登った大きな木は、三平にとっての“父親の大きさ”を表現したと見ることも出来て、一人の親として「大いなる責任」を感じたシーンでした。<br /><br />　大人社会の影響をモロに受ける、子供社会のバランスが見物です。<br />　僕はこれを見ていて「子供たちが付ける物の善悪はすべて親の意見によるもの」だと知りました。<br />　では物の善悪とは誰が決めるのか。<br />　「それを自分では決められなくて、周囲に同調する形で決めてはいないか」<br />　という皮肉が父の警察連行に籠められています。<br />　そういう意味ではとてもシニカルな、けれど心暖かくなる佳作。<br />　清水宏。もっと評価されるべき名匠だと改めて思いました。<br /></font><!-- amazon -->
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<title>若者たち（1967年・日本）</title> 
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  <modified>2012-05-14T03:12:39Z</modified> 
  <issued>2012-03-20 22:23:32+09:00</issued> 
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<![CDATA[
<font size="2">監督：森川時久　脚本：山内久<br /><br />　NHKBSプレミアム「山田洋次が選んだ日本の名作100選～家族編～」の1本。<br />　田中邦衛、橋本功、佐藤オリエ、山本圭、松山省二の5人が親のない兄妹を演じた青春群像劇です。<br />　オリジナルはフジテレビで放送された連続ドラマで、放送は1966年（昭和41年）。つまり東京五輪の2年後でビートルズが来日した年。<br />　僕は3歳でした。なのにこの主題歌はいろんなシーンで歌った記憶がある。調べてみたら「若者たち」は70年代以降の音楽の教科書に掲載されていて、僕たちの世代は義務教育でこの曲を刷り込まれたんですね。ドラマも映画も未見のまま、この曲だけが約40年も僕の身体の中に棲み続けていたなんて、考えてみると不思議な気持ちになります。<br /><br />　ちなみにこの手の作品を観たあと、僕はときどき橋本治さんが書いた「二十世紀」という本を開きます。<br />　これは二十世紀を一年ずつ、百年分のコラムで総括した一種の現代史で、僕の中では「20世紀の謎を解くバイブル」のような1冊です。映画「若者たち」を観終わったあと、ちょっとした疑問が残ったので久しぶりに「二十世紀」を開いたのですが、するとそこには僕の謎を解く一文がありました。無断転用します。<br /><br />　『この1966年の初め、早稲田大学では全学ストという事態が起こった。建設された第二学生会館の運営をめぐって学生と大学側が対立していたところへ、「授業料値上げ」問題が加わっての結果である。解決までに五ヶ月の時間を要したこの騒ぎは、翌年、翌々年に拡大して行く学生運動の時代の幕開けともなるものだが、当時の人は、「なんだがへんなことが早稲田で起こっている」くらいの認識しか持たなかった』（橋本治著「二十世紀」1966より）<br /><br />　早稲田とは明言していないけれど、三男の三郎（山本圭）は明らかに早稲田の学生で（ロケーションに大隈講堂が出て来る）、学友の河田泰子（栗原小巻）が三郎たちに中退を報告するというシークエンスがあります。泰子のセリフはこうでした。<br />　「4割も授業料が上がるってことは、今でも苦しいような学生は来なくていいってことだと思うし」<br />　泰子は大学を辞めて正看護師の資格を取るという選択をするのですが、そんなやりとりをするシーンはセットの装飾から察するところ元演劇部の部室で、おそらく今は学生運動の拠点。これがのちの全共闘運動に繋がるわけで、当時の“若者たち”はとにかく骨太だったということが分かります。<br />　何より多くの日本人はまだまだ貧しかったのでしょう。<br />　毛沢東が唱えた革命成功の三原則（貧しいこと、無名であること、若いこと）を引き合いに出すまでもなく、事態好転のためには革命を起こさざるを得ない、という時代だったのだと思います。そして何より「自分たちの力で事態を好転させよう」という気概があった。<br />　そんな中で自分の人生を如何に設計していくか。<br />　「若者たち」の5人兄妹はこの問題から目を背けること無く、真正面から向き合います。この姿勢がとにかく眩しい。違う時代の作品を観る価値は「人の考え方」の差異に触れることだなと改めて思いました。<br /><br />　驚いたのはオリエが結婚を意識する青年、戸坂（石立鉄男）が原爆症（劇中「ピカ」と呼ぶ人もいる）の設定だったこと。長男太郎（田中邦衛）の偏見も露骨で、このシークエンスには相当なリアリティがありました。これだけでも観る価値はあったと思います。<br /><br />　熱量の高い作品です。<br />　普遍的な青春ドラマでもあり、道徳ドラマでもあり、群像劇でもある。<br />　今、20代の人たちに「自分の親が20代だったときの物語」として観てもらえると嬉しい。きっと何か感じるものがあると思います。<br /><br /></font><!-- amazon -->
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<title>STAR WARS エピソードⅠ／ファントム・メナス 3D（2012年・アメリカ）</title> 
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  <modified>2012-05-14T03:12:39Z</modified> 
  <issued>2012-03-16 00:55:40+09:00</issued> 
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<![CDATA[
<p><font size="2">原題：STAR WARS EPISODEⅠ− PHANTOM MENACE 3D<br />監督：ジョージ・ルーカス<br /><br />　結論から先に言わせて頂きますが、これは詐欺事件です。<br />　犯人はもちろんジョージ・ルーカス。こんなもん3Dでもなんでもありません（笑）。<br />　はい、笑ってますよ。だっておかしいと思いませんか？2Dで撮ったものをどうやって3Dに出来るんですか。出来たとしても疑似3Dですよ。いわゆる飛び出す絵本的なこと。幸いEPⅠはほとんどがグリーンバックで撮られてますから、役者と背景を別々にデジタル処理することが出来ます。でもそこまでが限界。1ショットずつ撮ってあれば、役者同士でも手前に出したり、奥へ引っ込ませたりは出来るけど、2ショットやグループショットで撮ってあるシーンは、もう何も出来ないはずです。ルーカスの資金力を持ってしても。<br />　だから僕は大して期待もしないで観に行って、「ほらやっぱり」と思ったから笑えるのです。あ、詐欺ですけど、僕は告訴しないんで事件にはなりませんね（笑）。<br />　だから本作は「スター・ウォーズが映画館で観られるチャンス！」と思って行くのが正解です。<br />　これ以上でも以下でもありません。<br /><br />　それにしてもやっぱりEPⅠは面白くないですねぇ（笑）。<br />　僕はポッドレースが始まる前の件で5分ほど寝てしまいました。この辺り、家で観てても寝ちゃうポイントなんですよ。で選手紹介辺りで起きるのが定番になってます。なんでなんでしょう。ジェダイも女王も幼いアナキンに頼る羽目になる件が「どーでもええわ」って思うからでしょうか。<br />　あとジャー・ジャー・ビンクスがやっぱりダメ。初めてEPⅠを観たときの失望感を昨日のことのように思い出してしまいました。<br /><br />　久しぶりに観て良かったのはリーアム・ニーソンとナタリー・ポートマン。<br />　クワイ＝ガン・ジンはすべてのジェダイの中で一番カッコいいと思います。リーアム・ニーソンの年齢的もいい時期ですよね。骨太なのが良い。<br />　ナタリー・ポートマンは（当たり前ですけど）まだ少女の面影が残っていて、とにかくカワイイ。EPⅡになるといきなり「オンナ！」って感じになるので、この可愛らしさはEPⅠでしか堪能出来ないってことです。<br /><br />　</font><font size="2">最後にいまさら身も蓋もないハナシをさせてもいますけど、この脚本もうちょっとなんとかならなかったですかね？（笑）。そもそも「惑星ナブーと通商連合による貿易関税率を巡る紛争」ってプロットが「はあ？」って感じ。もっと簡単でいいじゃないですか。もっと分かり易くていいじゃないですか。なんでわざわざ小難しくするんですか。もったいない。…なんて、スイマセン。かなり今更なハナシをさせてもらいました。<br /><br />　ところでコレ、EPⅡもⅢも3D化してるんですよね？<br />　大丈夫かな。観客動員数は配給会社の見込みをゼッタイ下回ると思いますけど。<br />　あともっと驚いたのは「タイタニック」も3D化しているそうですね。なんだかファミコンブーム時代のクソゲーみたいなことになんなきゃいいけどなあ。<br />　と言うワケで皆さん、今「スター・ウォーズ」リバイバル上映やってますよ〜（笑）。<br /></font><!-- amazon -->
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<title>乱暴と待機（2010年・日本）</title> 
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  <modified>2012-05-14T03:12:39Z</modified> 
  <issued>2012-03-11 15:53:11+09:00</issued> 
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<![CDATA[
<p><font size="2">監督・脚本・編集：富永昌敬　原作：本谷有希子<br /><br />　「<a href="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2009-12-23" target="_blank">腑抜けども、悲しみの愛を見せろ</a>」に続く、本谷有希子原作2本目の映画化。<br />　…と聞いたので観てみることに。本谷の名前がなければゼッタイに観なかったと思う。<br />　<br />　一組の夫婦が木造平屋建ての市営住宅に越して来る。夫の番上貴男（山田孝之）は現在無職。妻のあずさ（小池栄子）は身重でありながらスナックで働いていた。その市営住宅にはあずさの高校時代の同級生奈々瀬（美波）が住んでいた。奈々瀬は「お兄ちゃん」と呼ぶ山根（浅野忠信）と同居していたが、あずさの記憶では奈々瀬に兄弟はいなかったはず。とにかくあずさにとっては奈々瀬は高校時代にとんでもない仕打ちを受けたクラスメイトで、心の底から憎んでいた。ところが貴男は奈々瀬にエロい興味を持ってしまう…。<br /><br />　まあ本谷の原作ですから、まともな人間は出て来ません。<br />　前作のときもその「まともじゃない」部分の演出が足りなくて「もったいない」と思ったわけですが、今回も今ひとつパンチが足りないなと思ったら、原作とはいろんな部分が書き換えられていたそうです。なんだよ、まったく。<br />　原作との違いで一番残念だったのは番上貴男の設定。<br />　映画では「無職でぐうたらなヒモ男」という設定ですが、原作では「犬の殺処分の仕事をしていて、根拠のない上昇志向の持ち主」という設定なのだそうです。これ、どう考えても原作の方がキャラクターに凄みがあるでしょう。富永監督がどういう理由で設定を変えたのかは知りませんが、これによって本谷原作の大事な部分をネグってしまったんじゃないかと思います。<font size="2"><br /><br />　ではそこには目をつぶったとして。<br />　4人の芝居は見物です。<br />　能面のような表情をさせると今、日本一巧いかも知れない小池栄子は、ここでも安定した芝居を見せてくれます。この人は「極道の妻」的な特殊な女じゃなく、フツーの女の「怖い」ところを演じさせると本当に巧い。<br />　ふた昔前「無職でぐうたらなヒモ男</font></font><font size="2">」と言えば火野正平さんの右に出る役者はいなかったと思いますが、今は山田孝之の十八番かも知れません。ただ彼なら「根拠のない上昇志向の持ち主」もゼッタイ巧く演じられたはずなので、そこはやっぱりもったいない。でも奈々瀬とナニしてる現場をあずさに目撃されたシーンでの芝居は相当笑えます。<br />　常にスエットの上下を着ていて写経が趣味という不思議ちゃんキャラを演じた美波。この人の芝居をまともに観るのは初めてでしたが、4人の中では一番良かった。彼女の演技力が「想像上の不思議ちゃん」を「どこかにいそうな不思議ちゃん」に仕上げていたように思います。<br />　奈々瀬に復讐する方法を考え続けているという、これまた意味不明の山根。浅野忠信が一本調子のセリフ回しで奇妙さに拍車をかけて面白くしています。この人は本当に器用だなあ。<br /><br />　断片的には笑えるんだけど、トータルの出来はイマイチ。だって何が言いたいのかよく分からなかったし（笑）。原作読んでみようかな。<br /></font><!-- amazon -->
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<title>ビー・デビル（2010年・韓国）</title> 
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  <modified>2012-05-14T03:12:39Z</modified> 
  <issued>2012-03-10 23:08:21+09:00</issued> 
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<p><font size="2">原題：キム・ポンナム殺人事件の顛末<br /></font><font size="2">監督：チャン・チョルス　脚本：チェ・クァンヨン<br /><br />　</font><font size="2">本作のことを知ったのはfacebook。知人がこう書いていた。<br />　「自分の中で韓国映画の一位は『<a href="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2011-03-28" target="_blank">息もできない</a>』と決めていたが、遥かに凌ぐ」<br />　僕は「息をできない」を観ている人がいたことにまず驚いて、それを韓国映画の一位としていたことにも驚いた。僕の中でも「息もできない」は韓国映画の第一位。同じ意見の人がそこまで絶賛するなら観ないわけにはいくまいと、久しぶりにDVDをレンタルした。<br />　監督のチャン・チョルスはキム・ギドクの助監督だった、という経歴も気になっていた。<br /><br />　ソウルの銀行に勤めるヘウォン（チ・ソンウォン）は職場でトラブルを起こし、支店長から休暇をとるよう通達される。実はヘウォンはある夜、暴行事件を目撃してしまい、おかげで警察から何度も協力を要請され、公私ともにストレスを抱えていた。そこでヘウォンは幼い頃に過ごした思い出の島へ向かうことに。<br />　過疎化が進み、島の住民はわずかに9人。その中には幼なじみのポンナムがいた。生まれてから一度も島を出たことの無いポンナムはヘウォンとの再会を喜んだが、その笑顔の裏でポンナムは地獄のような苦しみに耐えていた…。<br /><br />　サスペンス映画を観客が「面白い」と評価するかしないか、その最大のポイントは「フリオチ」のクオリティだと思う。フリとは「謎」である。オチとは「答え」である。<br />　まずは如何なる「謎」を用意するかが肝だ。観客の脳を「なぜだ？」とフル回転させることが出来たら、仕掛けは完了。そして、その「答え」が意表を突き、かつ万人を納得させられれば、間違いなく観客の心は粟立つ。本作もそのクオリティは高かった。僕は思わず「うお」と声を出すほど衝撃的なオチのワンカットがあったのだ。<br />　僕の中でこの作品の評価は、そのワンカットで決まった。それは文字面では表現し難い、映像ならではの表現方法だったから感動的ですらあった。<br />　謎とは「ポンナムは、なぜヘウォンまで殺そうとしたのか」である。<br /><br /></font><img src="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_cfc/dvd-diary/newsimg.php.jpeg" border="0" alt="newsimg.php.jpeg" width="519" height="346" /><br />　（島を出たことの無かったポンナム（左）と、ソウルから訪ねて来たヘウォン）<font size="2"><br /><br />　“ある悲劇”をきっかけに復讐の鬼となるポンナムは、最終的に幼なじみのヘウォンまで付け狙う。ヘウォンはポンナムに何の危害も加えていないにも関わらずだ。僕はそれを「単に常軌を逸した行動」と勝手に呑み込んで展開を見守っていたのだが、途中で“ある悲劇”の別アングルが唐突に挿入される。これが「謎」に対する「答え」のワンカット。<br />　このワンカットは謎が解けると同時に、観客が気付かなかった2つの伏線の存在も明らかにする。ひとつはソウルでの暴行事件。もうひとつは“ある悲劇”の処理に来た刑事と島民とのやりとり。絶妙である。何もかもが巧すぎて付け入る隙はどこにも見つけられなかった。<br /><br />　殺人事件を扱ったドラマは基本「動機」「方法」「犯人」のいずれかを解き明かして行くものだ。<br />　そして、どの立場の人間が主人公となっても「被害者」と「加害者」という対立図式は変わらないのだが、本作はこれに「傍観者」を加えて三すくみのドラマにしているところが素晴らしい。<br />　もちろん僕が無知なだけで、同様の作品が過去にあってもおかしくはないが、本作の場合は誰が加害者で、被害者で、傍観者であるのか言い切れない複雑さと、物語の最初と最後を傍観者目線で描くという構造も含めて、これは秀作と言っていいと思う。<br /><br />　キム・ギドクの味わいは確かにあった。<br />　有り得ない設定を、観客に信じ込ませる“追い込み方”はギドク作品に近いものがある。<br />　たとえば島の男がまるでガムのようにある葉っぱを噛んでいるのだが、それを「噛めば噛むほどバカになる葉っぱ」としている辺り、この奇妙な味わいは師匠譲りと言えるだろう。ただギドク作品に比べると圧倒的に雄弁で、表現もストレートであるから、ギドク作品よりも一般受けするように思う。<br /><br />　僕の中では「息もできない」は超えなかったけれど、韓国産サスペンスの中では「<a href="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2010-12-05" target="_blank">チェイサー</a>」や「<a href="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2005-04-09" target="_blank">オールド・ボーイ</a>」「<a href="http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2005-02-18-19" target="_blank">殺人の追憶</a>」と並ぶ名作。<br /></font><!-- amazon -->
</p><div class="sonet-asin-area"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B005EMZ8ME/dvddiary04-22/ref=nosim" target="_blank"><img class="sonet-asin-image" src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/51docXrlDgL._SL160_.jpg" alt="ビー・デビル [DVD]" title="ビー・デビル [DVD]" /></a><div class="sonet-asin-info"><p class="sonet-asin-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B005EMZ8ME/dvddiary04-22/ref=nosim" target="_blank">ビー・デビル [DVD]</a></p><ul><li class="sonet-asin-label">出版社/メーカー: キングレコード</li><li class="sonet-asin-label">メディア: DVD</li></ul></div></div><div class="sonet-asin-break"><!-- --></div>
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<title>メランコリア（2011年・デンマーク／スウェーデン／フランス／ドイツ）</title> 
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  <modified>2012-05-14T03:12:40Z</modified> 
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<p><font size="2">原題：MELANCHOLIA<br />監督・脚本：ラース・フォン・トリアー<br /><br />　知人の映画プロデューサーから「おもしろいから観て」と言われて観てみる。<br />　「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の監督の新作で、昨年のカンヌでパルム・ドールにノミネートされた作品でもあります（カンヌでは余計な発言をして、面倒なことになってたけど）。<br />　確かにおもしろい映画でした。<br />　もう何年もやっていないけれど「ゆる会」のお題にしたかったなと思うくらい。それほど観賞後に皆でじっくりと話したくなった映画です。<br /><br />　「メランコリアという惑星が地球に衝突する」<br />　これがまずプロローグで明らかになります。<br />　衝突してどうなるのかというと、地球は宇宙の塵となります。ものの見事に。<br />　これが結末。本作はプロローグで結末を明かした後、いよいよ本編がスタートするという、とんでもない仕掛けになっているのです。ネタバレもへったくれもありません。<br />　ではこんなドラマの主人公は誰か。<br />　ウィル・スミス？…いえいえ。ブルース・ウィリス？…ノンノン。クリント・イーストウッド？…もういいでしょ（笑）。<br />　そもそも男じゃありません。キルスティン・ダンストとシャルロット・ゲンズブールの2人です。<br />　彼女たちが演じるのはジャスティンとクレアという姉妹。本編は2部構成になっていて、第1部はジャスティン（キルスティン・ダンスト）の結婚披露宴で起きる様々なドラマが描かれます。<br />　<br />　ジャスティンと新郎のマイケルは、姉クレア（シャルロット・ゲンズブール）の夫ジョン（キーファー・サザーランド）が準備してくれた披露パーティに2時間遅れで到着する。そこには離婚した両親、会社の上司ほか大勢の人たちが集まっていた。<br />　スタートこそ遅れたものの披露宴は賑やかにスタートするが、母ギャビー（シャーロット・ランプリング）の嫌みに満ちたスピーチを境に、ジャスティンは情緒不安定になっていく…。<br />　<br />　第2部はメランコリアの地球衝突におびえるクレアの日常を描きます。<br />　<br />　披露宴以来憔悴しきっていたジャスティンを自宅に呼び、面倒を見ていたクレアも、メランコリアの存在に不安を感じ、情緒不安定になっていく。夫ジョンは「すれ違うだけで衝突はしない」と言うものの、クレアはインターネットで悲観的な情報を目撃してしまう。<br />　その一方でジャスティンは不思議と平静を取り戻そうとしていた…。<br /><br />　地球に惑星が衝突するというSFストーリーでありながら、アメリカ軍もNASAも大騒ぎするメディアも民衆も出て来ません。僕はまずこの設定に驚きました（僕たちはハリウッドのディザスター・フィルムに相当感化されているということですね）。<br />　しかも観客の恐怖心を無闇にあおるシーンがなく、メランコリアについては天体ショーを観るかのような美しい映像が続きます。これは観客に「やっぱり惑星衝突なんて起きない」とミスリードさせる作戦だったのかも知れません。僕は比較的平穏を保ったままクライマックス直前まで導かれた気がします。<br />　ところが最悪の事態はやって来る。<br />　ディザスター・フィルムではありませんが、登場人物の何人かはパニックに陥ります。ただし、ここまで来るとトリアーが描きたかったのは「地球の最後」ではない、ということが分かると思います。<br />　トリアーが惑星衝突をモチーフにしたのは、観客を「究極の死」に追い込みたかったからでしょう。人種も国籍も地位も預金残高も一切関係なく、誰一人逃れられない完全なる死。そこでトリアーは観客に向けて究極のメッセージを発信します。いよいよ衝突は避けられないと悟ったジャスティンとクレア2人の「その瞬間の迎え方」が本作の最大の見どころ。<br />　それは<font size="5" color="#FF0000">「分かっているのに衝撃の結末」という、おそらく映画史に残るだろう見事なラストシーン</font>でした。<br /><br />　この映画のアイディアは、トリアーが鬱病に苦しんでいた頃に出会ったセラピストの言葉から来ているそうです。その言葉とは「鬱病の人々は先に悪いことが起きると予想し、強いプレッシャーの下でもっと冷静に他の者よりも行動する傾向がある」。<br />　この言葉を胸に刻んで本編を観ると、面白さは何倍にもなると思います。特に第1部。<br />　僕は見終わったあとに知ったので、今はただ「早くもう一度観たい！」と悶える毎日です（笑）。映画マニアにはゼッタイおすすめ。傑作。</font></p><a name="more"></a>
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