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グアンタナモ、僕達が見た真実 [2006年 レビュー]

グアンタナモ、僕達が見た真実」(2006年・イギリス) 監督:マイケル・ウィンターボトム他

 この作品を観るとアメリカ軍に対して虫唾が走るのは必至。
 僕はそもそも“世界警察”気取りの米軍に対して反感を持っていたのですが、今回は反感を通り越し「アメリカって可哀想な国なんだ」と同情するまでになりました。
 そして、9.11以降のアメリカのうろたえぶりこそが“諸悪の根源”だと確信するのです。

 これは、パキスタン系イギリス人の若者3人が米軍からテロリストの疑いをかけられ、無実の罪で2年以上もキューバのグアンタナモ基地に拘束されたエピソードを、本人達のインタビューを交えながら再現したノンフィクションドラマです。
 オープニングの3分間は1人称のナレーションでテンポの良い編集がされていて、観る者をグイグイと引き込みます。が、オープニングから3分間流れたBGMがフェードアウトした瞬間から、若干失速します。これはすべての状況説明が終わっていないにも拘らず、ニュース映像の音声が1人称のナレーションを一端遮ってしまうからなのですが、この編集はちょっと勿体無いなと思いました。序盤いきなり中だるみがあるので、人によっては「何だかつまんないかも」と思うかも知れませんが、しばらくガマンすると再び勢いを取り戻し、やがて目が離せなくなると思います。ツッコミが細かくてスイマセン(笑)。

 先にも書いた通り、この作品を観ると米軍に対して猛烈な怒りを覚えます。
 「同じ人間に対してどうしてそこまで酷いことが出来るのか」
 グアンタナモの様子を観ながら僕はしばらくこう思っていました。
 ところが時間が経つに従い、「もし自分が米軍の兵士だったらどうするのか?」と思うようになります。タリバン兵士だと言われて基地に送り込まれて来た異人種の男たち。基地の兵士たちは「ワールドトレードセンターに航空機を激突させたテロリストの仲間」との烙印を1度は押すのでしょう。しかしどんな拷問にあっても自らタリバンであることを認めず、いたずらに無益な時間だけが過ぎて行く中で、「はたしてこの若者は本当にテロリストなのか?」と疑問を持つ兵士もいるはずなのです。だからこそウィンターボトム監督は、“監獄内にタランチュラを発見した米兵士のエピソード”を折り込み、決して非人道的な兵士ばかりではないことをアピールしたのだと思います。
 つまり、この類の事件で本来裁かれるべき人間は、その国のトップあるいはそれに準ずる者だと言うこと。
 ジョージ・W・ブッシュ、そして、ドナルド・H・ラムズフェルド。
 グアンタナモ事件の犯人は間違いなくこの2人です。彼らが裁かれることなど決して無いのだけど。

 それにしても、2年以上拘束され、あらゆる拷問を受けたにも拘らず、米軍の脅しに屈しなかった3人はスゴイです。「あの精神力は見習わないとな」と妙に感心してしまいました。

 2007年1月27日より全国順次ロードショー


浮気な家族 [2006年 レビュー]

浮気な家族」(2003年・韓国) 監督・脚本:イム・サンス

 ごぶさたしました。12月アタマからどエライ忙しさにひーひー言うとります。
 それでなくてもこの時期は忙しいのに、忙しいついでに引っ越しもしました。
 いやー大変っすよ、12月の引っ越しって。このクソ忙しい最中に引っ越す輩が世の中にはぐっちゃりおりまして、しかも私の場合「もうこのタイミングでしかムリっ!」って思って業者に電話したら、「お客さーん、土曜の大安じゃないですかあ。トラックなんてもう一台もありませんよ」と言われたからもう大変。「こちとら別に大安狙ってたわけじゃねーんだよ!」と出かかった声を抑えつつ別のスケジュールを捻出し、睡眠時間を削ってボロボロになりながら引っ越ししました。
 そんなわけでDISCASから11月に届いていたはずのDVDもなかなか観るタイミングが無かったのですが、新居に購入した液晶AQUOSのセッティングが本日無事完了し、計算上1本2,000円でレンタルしたことになる本作をようやく観たのであります。はあ、長い前フリになりました。

 一見幸せそうに見える平凡な家族が実はそれぞれ不倫に繋がる秘密を持っていて、いくつかの事件が起こる中でやがてその問題が露呈し、家族が崩壊して行くさまをシニカルに描いた作品。
 「オアシス」「大統領の理髪師」のムン・ソリ主演と聞いて観たんですけど、いやいや彼女の自然でさりげない演技は相変わらず素晴らしいです。ナチュラルという点では韓国女優No.1と言えるかもしれません。とびきりの美人じゃないところもきっといいんでしょう。
 本作はR-18指定でセックスシーンがやたらと出てきます。でもポルノまがいの作品じゃありません。セックスも日常生活の一部と思えば、こういう描写も有りだと僕は思います。
 しかもこの作品の面白いところは「性」に関する描写と同じくらい「死」にまつわるシーンも多いこと。「性」が家族を別け、「死」が家族を繋ぎ、そして「生」が新たな道を開く…。これはそんな作品です。最後は「考えオチ」ですが「不倫」をテーマにした映画に興味あれば。

 thanks! 310,000prv

浮気な家族

浮気な家族

  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2004/12/03
  • メディア: DVD

私が女になった日 [2006年 レビュー]

私が女になった日」(2000年・イラン) 監督:マルズィエ・メシュキニ 脚本:モフセン・マフマルバフ

 なんだかムフフなタイトルですけど、コレはDISCASで見つけました。
 借りようと思ったのは内容紹介が面白そうだったから。と、ジャケのアートワークが良い感じだったからです。

 第1話「ハッワ(イヴ)」――今日はハッワの9歳の誕生日。9歳になると女の子は大人として扱われ、スカーフを被り、男の子たちとも遊べなくなってしまう……。
 第2話「アフー(鹿)」――この日、キシュ島では女子自転車レースが行われていた。参加者のひとりで離婚を望むアフーを追いかけて、馬に乗った男たちが次々と現れるが……。
 第3話「フーラ(妖精)」――ポーターの少年たちを従え、老女フーラは、長い間憧れていた品々を買いに行く。しかし、どうしてもひとつだけ買い忘れた品物が思い出せない……。

 アジア映画を検索していたらイラン映画が出てきまして、「そういやイラン映画は観てないかも」と思ったのも借りた理由なんですけど、自分で五十音順タイトルをチェックしたら、なんのこたーない「運動靴と赤い金魚」という有名なイラン映画を昨年きっちり観てました(笑)。

 さてタイトルはムフフですけど、実際にはそうじゃありません。描かれているのは「イスラムの世界に生きる女性の矛盾」のような気がします。
 短編オムニバス映画ですから例によって作家性の高い作品に仕上がっていて、何をどう感じるかは観る人次第。僕自身はイスラム教に明るくないので作り手の意図は読み切れませんが、異文化の“常識”を覗き見るのは本当に面白いと思います。
 でも、映画自体おもしろかったか?と聞かれると「そうでもない」です(笑)。宗教の世界は複雑ですから。

私が女になった日

私が女になった日

  • 出版社/メーカー: ジーダス
  • 発売日: 2004/02/06
  • メディア: DVD

デート・ウィズ・ドリュー [2006年 レビュー]

デート・ウィズ・ドリュー」(2004年・アメリカ) 監督・製作・編集:ブライアン・ハーズリンガー 他

 映画界に何のコネも持たない青年が、クイズ番組に出演して獲得した賞金1,100ドルを元手に、永年ファンだったドリュー・バリモアと「デートをする」という夢を叶えるために奔走するドキュメンタリー作品。

 マイケル・ムーアの「ボウリング・フォー・コロンバイン」以降、近年ドキュメンタリー映画が大人気だ。同じくマイケル・ムーアの「華氏911」。ファーストフード業界に大打撃を与えたモーガン・スパーロックの「スーパーサイズ・ミー」のヒットも記憶に新しい。
 ドキュメンタリー映画が人気なのは、映画会社にとって旨味の多いジャンルである、という点がまずは大きい。
 現時点での全米公開映画収益率(早い話が純利益)ランキングを見ると一目瞭然。ベスト5のうち、なんと3作品がドキュメンタリー映画(文字)で、しかも「デート・ウィズ・ドリュー」が第5位に食い込んでいるのだ。

 1位 ブレア・ウィッチ・プロジェクト (1999年)
 2位 ターネーション (2004年)
 3位 スーパーサイズ・ミー (2004年)
 4位 アメリカン・グラフティ (1973年)
 5位 デート・ウィズ・ドリュー (2006年)
 6位 淫魔 (1969年)
 7位 白雪姫 (1937年)
 8位 バス男 (2004年)
 9位 オープン・ウォーター (2004年) 
 10位 風と共に去りぬ (1939年)

 「安く作って大きく儲ける」
 メジャースタジオの社長室に“社訓”として掲げられてそうなことを現実にしてくれるのが、ドキュメンタリー映画というわけだ。
 
 順番は前後したが、忘れてならないドキュメンタリー映画最大のメリットはやはり「作り手が何人からも干渉されない」という点である。
 テレビ局のプロデューサーやスタジオの重役にとやかく言われることがない。残念ながら上映の保証だけはないが、自らのテーマに沿って自由に作品を作り上げて良いという環境は、商業映画では考えられないことだ。
 デジタル技術の進歩も大きい。本作もそうだが、デジタルカメラとMacさえあれば誰でも長編映画を作れるようになった。今も世界中で多くの若者が映画制作に励んでいることだろう。

 さて本作である。
 1ヶ月間マクドナルドを食べ続けるのも、1ヶ月間ドリュー・バルモアを追いかけるのも、作り手の意図さえ明確なら、どんなテーマの作品でも「魅せる作品」に仕上げることは可能なのだ、ということを「デート・ウィズ・ドリュー」は教えてくれる。新しい可能性を開拓したという点では賞賛に値する。
 また、この映画がアメリカでヒットした理由は、主人公ブライアンを取り巻く仲間の存在が大きい。その様子はまるでリアル「フレンズ」。大人になりきれない若い男女が、大人から見ればくだらないことに懸命になり、笑って、涙して、互いの友情を確かめ合う。僕はドキュメンタリーの着地点よりも、このプロセスのほうが断然面白かった。だからこそこの映画はヒットしたんだと思う


 結果がどうなるかは観た人だけのお楽しみ。
 個人的には若干の不満があるのですが、それは公開後に。



 さて、今日は2007年2月2日。
 公開からずいぶんと時間が経ったので、続きを書こうかと思います。(注:ネタバレ)
 

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バベル [2006年 レビュー]

バベル」(2006年・アメリカ) 監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ

 いま密かに“菊地凛子”という名の女優映画関係者の間で注目を集めている。
 きっかけとなったのは、日本では来年のゴールデンウィークに公開されるこの作品。
 中で聾唖の女子高生を演じた菊地凛子は、「アカデミー助演女優賞のノミネートは確実だろう」と世界中の映画祭で絶賛されている。
 日本ではまったく無名だった25歳。
 富士通FMVのTV-CFでウサギ男になってしまうキムタクにツッコミを入れる女、と説明すれば何人かは「ああ」と思い出すだろうか。
 そんな彼女のインタビューを撮るため、僕は映画会社から回してもらったVHSで一足早く作品を観させてもらった。

 この作品は、“なぜ「バベル」というタイトルなのか?”を知ってから観るのがいい。
 プレス資料には旧約聖書の一文が引用掲載されていた。

 遠い昔、言葉は一つだった。
 神に近づこうと人間たちは天まで届く塔を建てようとした。
 神は怒り、言われた。
 “言葉を乱し、世界をバラバラにしよう”
 やがてその街は、バベルと呼ばれた。  (旧約聖書 創世記11章)

 これさえ頭に叩き込んで観れば、あとは観た人の数だけ解釈があると思う。
 
 物語はアメリカ、モロッコ、日本の3カ所で何の脈絡もなく始まる。ところがモロッコで発射された一発の銃弾が運命の糸となり、まったく関連の無かった人々を結びつけて行く…。
 関連性が見えた瞬間からこのドラマは俄然面白くなる。しかし「21グラム」の監督が紡いだ物語は、単純な感動を呼ぶような作品ではない。「観た人の数だけ解釈がある」と書いたのはそう言う意味で、この作品をきっかけにして考える(あるいは考えるべき)ことは数多くある。
 まずは「異言語」の意味。言葉はなぜ異なるのか。旧約聖書の記述は実に興味深い。そんな中、登場人物の1人が聾唖者である事実。監督の思惑を探るのもまた楽しい。

 僕の解釈は「人生は綱渡り。ふとしたことでいつ堕ちるか分からない。しかも堕ちた方角によっては、それまでの人生を台無しにしかねない」と言うこと。
 それともう一つ。
 「人間は誰しも生きている限り罪を犯し続ける。罪を犯さず生きられる人間などいないのだ」

 単純な意味でなく、この映画はおもしろい。
 テーマは重く、複雑だけれど、何ならこんなデート映画も僕はいいと思う。
 この映画を観たあとで、いろんな話の出来る相手となら、その先を考えてもいいんじゃないか?

 菊地凛子のこと。
 映画でも、直接逢ってみても、彼女の「目力」には圧倒された。
 意外にも素朴な人柄だったからこそ、そのパワーは突出していた。
 もしかしたらもしかするかもしれない。来年のアカデミー賞が楽しみだ。

バベル スタンダードエディション

バベル スタンダードエディション

  • 出版社/メーカー: ギャガ・コミュニケーションズ
  • 発売日: 2007/11/02
  • メディア: DVD

国境の南(原題) [2006年 レビュー]

「国境の南(原題)」(2006年・韓国) 監督:アン・パンソク

 今年から始まった東京国際シネシティフェスティバルへ行く。

 本当はクロージングの「ディパーテッド」(「インファナル・アフェア」のハリウッドリメイク版)が観たかったのだけど、このイベントに気がついてチケットを探したときには時すでに遅し。でもせっかくだから何か1本、と探したのがこの作品でした。

 作品のタイトルが不思議なことになっちゃってる理由は、「国境の南」という邦題は使えないらしく、一般公開時には別の邦題が付く予定で、でも今回は間に合わなかった、と言うことらしいです。いろいろあるのね映画界も。

 この作品は、結婚を約束した恋人がいながら止む無く脱北した男と、北朝鮮に残された女の物語です。
 物語の序盤は平壌に暮らす若いカップルの恋愛模様が描かれていて、普段うかがい知ることの出来ない国の様子だけに(その描写が事実に基づいているのかどうかも含めて)、実に興味深く観ることが出来ます。しかも北に残される女性ソナを演じたチョン・イジンが抜群に可愛く、男なら感情移入は容易でしょう(笑)。仮にチョン・イジンがタイプじゃなくても、袋小路に追い詰められるような身動きの取れない恋愛をしたことのある男性なら、この映画はかなり刺さります。涙なくして見られません。
 がっ!「この映画はヒットするか?」と聞かれたら、僕は「大してヒットしないだろう」と断言します。というのも僕はこの映画を観て「恋愛映画ヒットの法則」を見つけたのですが、この映画には「ヒットのために欠けてはならない決定的な要素」が欠落しているんです。
 …以上、この先は内容に触れてしまうので未見の方は(一応)立ち入り禁止区域とします。
 でも面白いことを書いときますから、よきときに見に来てください(笑)。

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尼僧物語 [2006年 レビュー]

尼僧物語」(1959年・アメリカ) 監督:フレッド・ジンネマン 脚本:ロバート・アンダーソン

 昨年「ローマの休日」の記事を書いたとき、mimiさんから頂いたコメント。
 『ちなみにオードリー映画で私のお勧めは「尼僧物語」。オードリーの透明さが美しいです』
 このコメント
を読んだ瞬間から「観よう!」と決めていた1本です。実際観るまでには1年と5ヵ月もかかっちゃいましたけど(笑)。

 監督は1953年に「地上(ここ)より永遠に」でアカデミー作品賞、監督賞を受賞したフレッド・ジンネマン。
 実はこの1953年は、オードリー・ヘップバーンが「ローマの休日」でアカデミー主演女優賞を獲った年でもあって、何を隠そうフレッド・ジンネマンの「地上(ここ)より永遠に」とオードリーの「ローマの休日」が作品賞を争っていたのでした。
 それから6年後。
 ハリウッドの人気監督と人気女優がタッグを組んで挑んだのが本作品となるわけです。

 物語はタイトルのまま、1人の女性が尼僧となる決意をし、修道院へ入るところから始まります。観客はしばらくオードリーを通して修道院の戒律を観ることになるのですが、オードリー演じるガブリエラは外科医の娘にして優秀な看護婦であり、彼女はシスターとしてコンゴの病院で働くことを望んでいた、という設定になっていて、やがて(ちょっとだけ)意外な展開をします。

 が、個人的には少し退屈な映画でした。というのも、これはスターシステムの典型のような作品で、内容が当たり障り無さ過ぎなのです。確かにmimiさんの仰るとおり、オードリーの尼僧は聡明な雰囲気が出ていてとても良いのですが、
ただそれだけかなと思います。
 一言で評するなら、ドラマとしての面白みに欠ける、ということ。

 調べてみたら本作は1959年のアカデミー作品賞、監督賞、主演女優賞、脚色賞、撮影賞、劇・喜劇映画音楽賞、編集賞、録音賞の8部門にノミネートされていたのですが、まったくの無冠で終わっていました。
 ちなみにこの年はアカデミー賞史上最多の11部門を独占した強敵「ベン・ハー」がいたんですね。でも「ベン・ハー」のせいで無冠だったのではない、と僕は思いました。

 thanks!300,000prv

尼僧物語

尼僧物語

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2006/10/06
  • メディア: DVD

ユア・マイ・サンシャイン [2006年 レビュー]

ユア・マイ・サンシャイン」(2005年・韓国) 監督・脚本:パク・チンピョ

 たとえば「韓国の女優で誰が好きか?」と聞かれたら、時と場合によって僕は「シム・ウナ」と答えたり、「イ・ヨンエ」と答えたり、「ペ・ドゥナ」と答えたりしますが、実は本作の主演女優チョン・ドヨンが一番好きです。
 ちなみに今、チョン・ドヨンのプロフィールを確認してみたら、僕はデビュー作「接続 ザ・コンタクト」(1997年・日本未公開)以外の映画
全部観てて我ながらちょっとビックリ(笑)。
 
 「我が心のオルガン」(1999年)
 「ハッピーエンド」(1999年)
 「私にも妻がいたらいいのに」(2001年・日本未公開)
 「スキャンダル」(2003年)
 「初恋のアルバム~人魚姫のいた島~」(2004年)
 
 韓国の女優にしては(という言い方が適切かどうかは分からないけれど)とびきりの美人じゃないし、ボディはスレンダーだからセックスアピールも特に無し。なのに僕が彼女のことを好きなのは、「きっと毎日眺めいても飽きないだろうな」と思わせるほど喜怒哀楽の表情が豊かで(中でも笑った顔は素晴らしくキュート)、天真爛漫な役から汚れ役までなんなくこなすほど演技の幅も広く、女優としては最高の資質を持ち合わせているからだと思います。

 と、ここまでベタ惚れの僕がこの作品を客観的に批評できるかどうか分かりませんが(笑)、チョン・ドヨンファンとしての感想は後回しにして、まずは一映画ファンとしての感想から。

 上映時間122分は「長い」と思います。
 仮にどんな内容かまったく知らずにこの映画を観たら、きっと前半の1時間弱は「だから何が言いたいの?」とイライラします。もちろん何も知らずに観るなんてこと、そうそうないと思うんですけど、「はたしてスニーク・プレビュー(覆面試写会)だったら、どう思うか?」が僕の中でのひとつの物差しなので、ここは譲れません。完全なマイナスポイントです。だって大まかな内容を知って観た僕ですら「展開が遅すぎる」と思ったんですから。
 じゃあ90分くらいの作品にすればいいか、というとこれがそうでもない。
 重要な登場人物の1人、主人公ウナ(チョン・ドヨン)の“過去を知る人間”(ネタバレ自主規制)の背景描写が緩すぎるので、ここに少々時間を費やす必要がある。
 それで100分台でまとめられれば、かなり良かったんじゃないかと思います。
 この作品は、主人公ソクチュンを演じたファン・ジョンミンが
素晴らしい。役作りのために体重を10キロ以上も増減させたそうですが、これはもう「役者魂」というものを超えていたような気がします。僕は男ですから当然ソクチュンに感情移入して観ていましたが、クライマックスでは久しぶりに号泣しました。どうやって劇場から出ようか躊躇するほどに(笑)。
 
 さて、チョン・ドヨンです。
 実は映画が始まってしばらくは、この僕でさえ「あまり可愛くないな」と思っていました。
 でもあるシーンを境にして、「あまり可愛くない」んじゃなくて、「あまり可愛く撮ってなかった」あるいは「あまり可愛く演じてなかった」ように思います。というのも、ウナがソクチュンを気にし始めた瞬間、具体的には喫茶店の窓越しにソクチュンを振り返るウナの表情がそれまでとはガラリと違って、恐ろしいほど美しいのです。これは紛れもなく監督の狙いで、チョン・ドヨンの女優としての実力が発揮された瞬間だったように思います。あのワンシーンは感動的でした。

 作品のテーマについて。
 HIVに対する偏見がいかに根強く、また人を傷つけているかが手に取るように分かる作品です。
 「ウナはHIVに感染した。では夫のソクチュンはどうなのか?」
 観客はどうしてもこの点に興味が行きます。しかし監督はなかなかこの結果を明らかにしません。これも完全に狙いだったと思います。
 「HIVに感染していることは罪ではない。感染者を差別することが罪なのだ」
 これが僕の素直な感想です。
 また暗くなりがちなテーマを最後は明るく仕上げた監督の演出も良かったと思います。

 「ユア・マイ・サンシャイン」は
作品の出来不出来を語る以前に、観る価値のある一本です。
 そう思えば、この作品がR-15指定なのはちょっと残念でした。

ユア・マイ・サンシャイン

ユア・マイ・サンシャイン

  • 出版社/メーカー: エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ
  • 発売日: 2007/04/18
  • メディア: DVD

ロッキー [2006年 レビュー]

ロッキー」(1976年・アメリカ) 監督:ジョン・G・アヴィルドセン 脚本:シルベスター・スタローン

 今年は「ロッキー」初公開から30周年だったんですね。
 日本での公開は翌77年。1977年と言えば僕は14歳で、この年は「キャリー」「ピンクパンサー3」「悪魔の手毬唄」「八甲田山」「ドーベルマン刑事」「宇宙戦艦ヤマト〈劇場版〉」「幸せの黄色いハンカチ」「人間の証明」「八つ墓村」「オルカ」「カプリコン1」「007私を愛したスパイ」などが公開されていました。こうして並べてみると懐かしいタイトルばっかりでビックリです(笑)。

 「ロッキー」を観るのはさすがに30年ぶりじゃありませんが、古い映画を改めて観ると驚くことがありますね。「ロッキー」の場合は、自分の記憶に残る映像よりもはるかに地味なタッチだったということ。そういえば一時代も二時代も前のハリウッドには、まさに「手作り」としか言いようの無い、“貧しいけれど温かい”映画が沢山あったような気がします。
 「ロッキー」の製作費はわずか100万ドル。当時のレートで言えば3億円弱ということになるのですが、「低予算で映画を作ることも決して悪いことではない」と「スーパーマン・リターンズ」の監督、ブライアン・シンガーは言います。
 例えばロッキーとエイドリアンがスケート場でデートするシーン。
 脚本上は大勢の客に紛れて2人が滑るようになっていたのですが、実際はそのエキストラを雇う金が無く、どうしても2人きりで撮るしかなかった。そこで考えたアイディアが、営業時間を過ぎて無人になったスケート場で管理人に10ドル握らせ10分間だけ滑らせてもらう、というシーンへの変更でした。
 「予算が足りないなら監督は頭を使うしかない。でもそういうことって大事なんだよ。予算を補うためにいろいろ考えたからこそ、映画史上最もロマンティックなデートシーンが生まれたんだ。もしも余りある予算があったら、あんなシーンは生まれなかっただろうね」
 ブライアン・シンガーの言葉はすべてのディレクターに聞かせてやりたい名言です。
 もちろん映画を作るためにはある程度のお金は必要なんですけど、最低限のお金があれば監督他スタッフのアイディア次第でいい物は作れるという、「ロッキー」はそのお手本みたいな映画でした。
 改めて観てもうひとつ感動したのはタリア・シャイア。
 よくよく考えたら「ゴッド・ファーザー」以降に出演した作品ですから、あの静かな抑えた演技に女優としての恐るべき実力を見た気がしました。
 ついでにラストシーン。ロッキーがエイドリアンの名前を呼ぶエンディングでなければ、アカデミー作品賞は獲らなかっただろうなと思いました。それくらい衝撃的で感動的なシーンだったと思います。今観ても泣けるもん(笑)。

 ちなみに今、発売されているDVDには公開25周年時のスタローンのインタビューが収録されています。中でスタローンは製作に至るまでの紆余曲折(予算に関することも)を詳細に語っていて、なかなか面白い内容になっています。
 
 そして今年のクリスマス。何をトチ狂ったかロッキーが再びリングに立ちます。
 シリーズ6作目となる新作「Rocky Balboa」が全米公開されるのですが、1ファンとしてはただ「やらなきゃ良かった」ってことにならないことを祈るだけです(笑)。

ロッキー〈特別編〉

ロッキー〈特別編〉

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2006/10/27
  • メディア: DVD

間宮兄弟 [2006年 レビュー]

間宮兄弟」(2006年・日本) 脚本・監督:森田芳光 原作:江國香織

 この作品、僕の感想は一行で終わります。
 「何かは分からないけど何かを期待して観たのに何の期待にも応えてくれなかった映画
 これがすべて。

 予告編を観たときは面白そうだなと思いました。
 特に佐々木蔵之助とドランク塚地の2人が兄弟を演る。
この意外な組み合わせは「ホームランは無理でも、もしかしたら2塁打。いや、足を絡めて3塁まで?」と思わせる力があった。
 さらに、この2人で得点が無理だった場合を考えて、旬の女優・沢尻エリカを起用した。これは「最悪でも外野フライで1点を取る」という製作陣の執念の表われだと思いました。
 こうして試合は始まった。ところが歓声はどこからも聞こえてこなかった。
 劇場公開中も、DVDがリリースされてからも、「間宮兄弟」のことを話す人はほとんどいなかった。すごく不思議だったんだけど、実際に観たら合点がいった。この映画は僕が先に書いたように「手短に話せば済んでしまうくらい薄っぺらな映画だった」ってことなんです。

 僕は原作を読んでいないから断定できないけれど、この映画がおもしろくない理由は原作のせいじゃないと思います。多分99.9%、監督の書く脚本のせいでしょう。
 「こんな兄弟、実際にはいないかも知れない」
 仮に観客がこんな疑問を抱いても、それはフィクションだから許される。
 「この兄弟の行動や言動は人間の行動心理学上ありえない」
 観客がこう感じてしまったら…。いくらフィクションと言えどもこれは許されません。登場人物が人間的なリアリティを失ってしまったら、それはすでにドラマではないのです。

 映画監督の中には「観る人が何かを感じてくれればいい」と言って映画を作る人がいます。
 僕もそんな映画が嫌いじゃありません。
 でもそのために大切なことは、ドラマの中の何もかもが自然でなければならないと思います。
 森田芳光監督の演出は「過剰な芝居」でした。しかも極めて時代遅れの。

間宮兄弟 スペシャル・エディション (初回限定生産)

間宮兄弟 スペシャル・エディション (初回限定生産)

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • 発売日: 2006/10/20
  • メディア: DVD

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