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アベンジャーズ(2012年・アメリカ) [2012年 レビュー]

原題:THE AVENGERS
監督・脚本:ジョス・ウェドン

 2012年は映画と少し距離の空いた1年になってしまいました。
 でもその年の最後にこれだけは観ようと思っていた1枚をTSUTAYAで借りて、ムスメが寝たあとに久しぶりやなあと思いながら観始めたのですが、なんと30分後には墜ちてました(笑)。
 なんじゃこの映画は。
 アベンジャーズがどういうチームかはもちろん知ってます。
 「アイアンマン」も「キャプテン・アメリカ」も、しぶしぶ「マイティ・ソー」も観たし、「ハルク」はちょっと前のヤツを間違えて観ちゃったけど、予習はした上で観たわけです。が、なんなんだよコレ。地球を支配しようと目論む邪悪な神ロキはソーの弟で、地球征服は単なる兄に対する嫌がらせ。
 これは、過去最高に納得出来ない善と悪の対立構造。
 結果、観るのに2日かかっちゃいました。あー、こんな映画を最後に観ちゃったよー。
 納得出来ないのは対立構造だけじゃありません。アベンジャーズの面々が仲良くなるまでに時間かけ過ぎだろ!行き先が分かってるのに、そんな段取り観たないわ!。あとはスカーレット・ヨハンソンがぜんぜんエロくなかったこと。実はコレが一番残念だったかも。
 それもこれもジョス・ウェドンとかいうヘンな丼物みたいな名前の監督のせいじゃないでしょうか。ブエナビスタもなにやっとんねん!

 最後の最後にこんな映画をチョイスした自分を呪います。
 来年は今年より映画を観るペースが落ちると思うので、より打率を上げられるよう精進します。こんな最後でスイマセン(笑)。皆様よいお年を!

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綱引いちゃった!(2012年・日本) [2012年 レビュー]

監督:水田伸生
脚本:羽原大介

 映画はムーブメントを起こせるかどうかで、成績が決まると言ってもいいと思います。
 だからブエナビスタを筆頭にハリウッドの主要スタジオは、周到なマーケティングリサーチをするのでしょうし、多くの作品のPRから「負け戦をする気など毛頭ない」という強い意志を感じたりするのです。
 ところがそれでも大コケするときはする。
 そりゃそうです。映画は企画から公開までに2年以上のタイムラグがある。公開時の“風”を完璧に読める人なんていません。だからこそ映画にはムーブメントを起こせるだけの力がゼッタイに必要なのです。
 にもかかわらず、本作の場合「綱引き競技」にベットしようとした理由が、僕には最期まで分かりませんでした。

 大分市役所に勤める西川千晶(井上真央)は、大分市の知名度を上げたい市長(風間杜夫)の思いつきで、急造の綱引きチームを結成することになる。かつて大分市には綱引きで世界チャンピオンになった女子チームがあり、大分市のPRに貢献した経緯があったからだ。しかし募集をしてもメンバーは集まらず、千晶は母・容子(松坂慶子)が勤める給食センターの女子職員に目をつける…。

 競技綱引きは運動会の綱引きとは大きく違って、高度なテクニックと戦略を要する、実はスゴく面白いスポーツです。僕も実際に観たことがありますが、力勝負かと思いきやメンタル、チームワーク、コンディションが大きく影響する競技で、その奥深さに驚いたほどです。
 スポーツドラマは、それこそ本当に急ごしらえの俳優たちで、どこまでリアリティを追求出来るかが永遠のテーマなのですが、競技綱引きも相当に高度なスポーツと見えて、本作はいわゆる「スポ根ドラマ」ではなく、人情ドラマになっていました。つまりドラマに勝敗が一切絡まないのです。
 無理だったんでしょうね、「ロッキー」的な展開は。
 「1本の綱に全員の想いを込め、絆を深める」というメッセージは分かります。でも安直じゃないですかね。競技綱引きの面白さを掘らないのなら、競技綱引きにベットする必要は無かったと思います。作り手に「綱引きをメジャーにしたい」という思いさえ見えないのですから。
 残念ですが「2時間ドラマ」レベル。
 唯一、玉山鉄二のハチャメチャなキャラとアドリブだけが見物。

 

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エンディングノート(2011年・日本) [2012年 レビュー]

撮影・編集・監督:砂田麻美

 日本のドキュメンタリー映画としては「ゆきゆきて、神軍」(1987)以来、2作目の【興行収入1億円】を突破した作品なのだそうです。そう聞いてしまうと遠い昔に「ゆきゆきて、神軍」も観たドキュメンタリー好きとして、これは避けて通れません。

 日本の高度成長期を支えたサラリーマン砂田知昭は会社を引退した2年後に胃がんの宣告を受ける。毎年検診を受けていたにもかかわらず、発見されたときにはすでに手遅れの状態。医者から“残り時間”まで教えられた元営業マンは、自分の最期を段取ることにした。そこでまず着手したのがエンディングノートの作成だった…。

 監督は主人公・砂田知昭さんのムスメ。
 学生時代から是枝裕和氏の下で映画作りに関わっていた彼女に取っては、「これ以上ない素材が身内から出て来た」ことになります。少なくともお父さんが“段取り命”の人でなかったら、エンディングノートを書かなかったら、この映画は成立していないワケですから。
 とは言え、うかつに「感動的」というありふれた言葉では片付けられないほどよく出来た作品でした。
 もちろんプロデューサーを務めた是枝監督から、的確なアドバイスが多々あったことでしょう。それでも実の父の“終活”を、善くぞここまで冷静に描き切れたものだと感心します。

 観れば分かってもらえると思いますが、被写体の父と撮影者の娘が冷静だからこそ、このドキュメンタリー映画「見世物」として成立していると思います
 対照的なのは女優・林由美香の最期に迫った「監督失格」。この作品は監督・平野勝之の“心の揺れ”を「見世物」にした作品でした。主観で描くか、客観で描くかによってで、ドキュメンタリーは大きくその姿を変えるのですが、もしもエンディングノートが主観で作られていたら、観客はその“重さ”に耐えられず、きっと直視するのも辛い作品になっていたでしょう。
 
 客観描写されているとは言え、ゴールに「死」があると分かっているからこそ、観客はやがて息を呑んで主人公とその家族の様を見つめることになります。まして(僕もそうですが)実の父をすでに亡くしている観客は、心を鷲掴みされるような哀しみを覚えるはず。しかし本作で観るべきは、そういった家族の哀しみ様ではなく、「人間は何を成すためにこの世に生まれて来たのか」という永遠の問いではないかと思います。

 僕は砂田友昭さんをサムライだと思いました。
 慌てず騒がず宿命を真正面から受け容れようとする姿に、日本人の美学を観ました。もちろん時には弱い部分も見せますが、自分よりもまず家族を想い、労り、愛情を注ぐ砂田さんの姿は、同じ日本人として誇りに思えるほどでした。

 「死」はすべての人に平等に訪れる最期のビッグイベント。
 自分の最期を見つめると、実は明日からの生き方にいい影響を与えるのではないでしょうか
少なくとも僕は「明日死んでもいいように、ムスメとは全力で遊ぶ」と決めました。

 秀作。


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ニッポン無責任時代(1962年・日本) [2012年 レビュー]

監督:古沢憲吾
脚本:田波靖男、松木ひろし

 野田総理の電撃的な衆院解散宣言から政界が揺れている。
 そんな中で一番呆れるのは、議員バッチ欲しさに勝ち馬に乗ろうとする、あるいは沈む船から逃げようとするネズミ以下の連中だ。特に民主党を離党し日本維新の会に合流した奴らは、信念の欠片も無い「政治家」ならぬ「政治屋」である
 どうしてこんなに無責任な連中が国会ノサバっているのかと思ったら、ふとこんな作品が観たくなった。11月10日にクレイジーキャッツのメンバーだった桜井センリさんがお亡くなりになったニュースを耳にしたせいもあっただろう。

 植木等が歌う「無責任一代男」と「ハイ、それまで」がこの作品の劇中歌であることは知っていた。しかし映画そのものは未見で、2つの歌からしてどれほど豪快な内容かと思っていたが、観るとこれがセコい詐欺師のようなハナシで、永年抱いていた想像とは大きくかけ離れた作品だった。

 とある会社をクビになったばかりの平均(たいらひとし/植木等)は、バーで「太平洋酒が乗っ取られそうだ」というハナシを耳にする。それを聞いた均は太平洋酒の社長に近づき情報を提供。均は社長が懇意にしていた政治家の名前まで持ち出して、太平洋酒の社員として会社に潜り込むことに成功する…。

 植木等演じる平は平均的なサラリーマンでもなんでもなく、青島幸男さんが書いた歌詞「こつこつやる奴ァごくろうさん」と高らかに笑い飛ばす尋常ならぬ男である。その植木等を観に行った観客こそ“こつこつやる奴ら”であって、それでもこの作品が(主題歌も)ヒットしたのは、よほど当時のサラリーマンに閉塞感や疲弊感があったのだろう。終身雇用制の功罪かも知れない。社内のヒエラルキーに抗えない彼らは、日頃のうっぷんを植木等に託したとも言えるのだろう。終身雇用制どころか年金制度まで崩壊した(と断言する)今になってこの作品を観ると、当時の日本が社会主義国のように見えるからおもしろい。

 純粋に映画としてのハナシ。
 昭和歌謡ムービーである。植木等やクレイジーキャッツのパフォーマンスが文句なく愉しい。特に植木さんの表情見ていると「笑顔のあるところに幸せがやって来る」という先人の言葉を思い出す。
 勝手に抱いて来たイメージと内容がかけ離れ過ぎて面食らったのも事実だが、サラリーマンでありながら破天荒なところが面白いのだと、観終えてしばらくしてから気が付いた。が、主人公は決して「型破り」なのではなく、ただの「形無し」じゃないかと思っているところに、僕の引っかかりはあるのだけれど。

 それにしても衆院選後の日本が、本当にニッポン無責任時代にならないことを祈る。
 政治家だけではなく国民も。

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最高の人生の見つけ方(2007年・アメリカ) [2012年 レビュー]

原題:THE BUCKET LIST
監督:ロブ・ライナー
脚本:ジャスティン・ザッカム

 ドキュメンタリー映画エンディングノート」がヒットして、日本でも注目を集めるようになった、いわゆる「最後の覚書」。アメリカでは首吊りをする人が足下のバケツを蹴るところから「バケットリスト」と呼ばれているそうです。
 本作は「スタンド・バイ・ミー」や「恋人たちの予感」など構えの小さな作品を得意とするロブ・ライナーが60歳のときに手がけた作品。

 実直な自動車修理工カーター(モーガン・フリーマン)と、豪放な実業家エドワード(ジャック・ニコルソン)は共にガンで余命半年と診断され、入院先の病院で偶然同室となる。手の施しようも無い状態の2人は、「バケットリスト」を書き出し、それを実現する旅に出る。

 公開時のキャッチコピーが「余命6ヶ月、一生分笑う」だったので、本編のラストには当然2人の死があるはずと想像した僕は、どうしても積極的に観ようとは思えませんでした。理由は(多くの人がそうだと思いますが)、行き先が分かっている物語にあまり興味を持てないからです。
 ところが、ロブ・ライナーは僕より1枚上手でした。本作はドラマのエンディングからスタートし、しかもカーターがストーリーテラーを務める構造だったのです。つまりエドワードは死に、カーターはまだ生きているかのようミスリードが効いていましたこの演出のおかげで、僕はすんなり入り込めた気がします

 ちょっと突飛で意外だったのはエドワードがとんでもない金持ちという設定だったこと。

 カーターは彼の小型ジェットに乗ってあちこち旅するわけですから、ちょっと非現実だなあと。中でもピラミッドの頂上で2人が話し込むシーンでは、いくらなんでもそりゃないだろう、と思ってしまい(だって今は登れないし、登れたとしても年寄り2人頂上まで行けるはずもない)若干気持ちも萎え気味に。
 ただしバケットリストの大事なところは、「やり残したことをやり遂げること」であって、「やりたいことをやる」のではないと後半で教えられこの着地点には納得しました。
 
「世界一の美女にキスをする」というエドワードの願いがまさにそれで、これが「やり残したことをやり遂げた結果」だったとき、観客の心は一気に温かくなります。これ以上の美女もいないだろうという納得感も含めて、とてもいいエピソードだったと思います。

 この作品が教えてくれるのは、「人間、意固地になってはつまらない」ということ。自分も相手も「赦す」ことで、人は幸せになれる気がしました。
 でも一番驚いたのは、これがたった97分の映画だったことかも(笑)。

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もうひとりの息子(2012年・フランス) [2012年 レビュー]

原題:The Other Son
監督:脚本:ロレーヌ・レヴィ

 第25回東京国際映画祭、東京サクラグランプリ作品
 本題に入る前に、
このグランプリ名。そもそも「サクラ」はいらないと思うんだけど、百歩譲ってもイベント開催は秋。なのになぜ「サクラ」なのよと思う秋なんだから「イチョウ(そもそも東京都の木だ)」とか、「モミジ」とか、「焼き芋」とか季語は沢山あるわけで、でも「秋の季語は座りが悪いなあ」ってなるなら「サクラ」だって止めちゃえばいいじゃない。
 これと同じでイラッとするのが、国内の空港名。「徳島阿波踊り空港」とか「高知龍馬空港」とか「たんちょう釧路空港」とか、なんで一枚乗っけちゃうのよ。そんな情報いらないでしょ。
 …というわけで、今年の「東京サクラグランプリ」作品は、フランスの小品でした。

 兵役用健康検査の結果、両親の実子でないことを知ったイスラエルの青年。出生の際の手違いが明らかになり、やがてイスラエルとパレスチナふたつの家庭のアイデンティティと信念が大きく揺さぶられる事態に発展する。根深い憎しみからの解放を巡る感動のドラマ。

 公式サイトの作品解説を引用させてもらいましたちなみに僕がTIFFの場合に限って解説を引用するのは、作品は沢山あるものの、少ない情報の中から何に引っ掛かって観ることにしたか、を記録するためでもあります。読者の皆さまに至っては「この解説で自分なら観ようと思うか」など考えて頂ければ善いかと思います)。
 さて本題。

 ドラマの設定として「出生時に入れ替わった2人の赤ん坊」は決して目新しくはないんだけど、だからこそ「どうして誰もこの設定をイスラエルとパレスチナに置かなかったのか」と言いたくなるくらい、いい着眼点だったと思います。ただそれだけでなくドラマのとしての落とし込みが実に巧かった。審査員が「グランプリに相応しい」と判断したのも、脚本の力が大きかったと思います。

 当然ですが最低限の中東事情を把握していないと、このドラマは理解出来ません。
 イスラエルとパレスチナ。互いの言い分が理解出来ていると、本作の展開には胸を打たれるはずです。
監督のロレーヌ・レヴィ紛争は相手の立場を理解しようとしない愚者の行為」と喝破しつつ、具体的なエピソードについては丁寧な筆致で実に優しく描いています。
ゼッタイにあり得ないことが起きたことによって、互いの立場を超えて徐々に歩み寄る2の家族と当事者の2人。特に互いの家族がよそよそしくしている間に、当人同士が早々と意気投合する辺りが、いかにも現代的で面白い。この2人の距離感こそがパレスチナ問題解決の糸口なのではないかと思えるほどでした。

 俳優は皆素晴らしくて、とても良くまとめられた作品だと思います。
 ただし、こんなにこじんまりとした作品が今年のグランプリで良かったのかどうかは疑問。それほど今年のTIFFは小粒な作品ばかりだったってことでしょうか?

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天と地の間のどこか(2012年・トルコ/ドイツ) [2012年 レビュー]

原題:Araf-Somewhere in Between
監督・脚本
イェシム・ウスタオール

 今年のTIFF。事前にチケットを入手したのは4本で、これが3本目。
 僕はロードムービーが好きな一方で、旅人を見守る定住の人のドラマも好きなんだな、と思わせてくれたのが本作の作品解説。以下を読んで僕はチケットを入手することに

 郊外の高速沿いのドライブインに勤務し、単調で展望のない日々を送る少女。出入りするドライバーたちが、彼女を外の世界へとつなぐ唯一の存在だったが…。(中略)原題のArafとは、天国と地獄の間に位置する「煉獄」あるいは「リンボ」を意味するトルコ語である。ダンテの「神曲」では、待たされるばかりの「煉獄編」が最も辛いに違いないと語る監督は、ドライブインでくすぶる少女の状態を煉獄に重ねる。


 僕はこの解説を読んで、勝手に「バグダット・カフェ」のような作品を期待してしまいました。
 何度も言いますが、この手の“期待”は禁物なんです。なぜなら我々の想像力は底なしで、映画がそれを超えることなど有り得ないから。期待をして結果損をするのは我々観客の方、と知っていながら、無意識に期待してしまう。映画を観るってことは、この繰り返しですね。
 と言いつつ、トルコ郊外のドライブインという設定は気に入ってました。状況説明のルーズショットが若干足りない気がしたけれど、無駄な照明を排した寒々しい映像はリアリティの獲得に成功し、美しい主演女優も違和感なく、その場所に溶け込んでいたからです。

 「此処ではない何処かへ」

 過去多くの青春映画が取り組んだテーマは、本作でも瑞々しく描かれていて、途中「素晴らしくいい作品かも」と思っていたのですが、終盤まったく個人的な理由で僕はこの映画のことが嫌いになってしまいました。

 それは「堕胎」にまつわるシークエンスの存在。
 少なくとも不妊治療に取り組んでいるご夫婦は観ない方がいい。極めて不愉快になると思います。
 
 残念ながら僕はこの作品を正当に評価できません。僕に子どもがなかったら、あるいは10年前だったら、きちんと評価できたかもしれませんが、今は全く無理です。そして僕はこの作品に限ら「堕胎」が絡むストーリーはこの先ゼッタイに受け入れられないのだな、と確信しました。

 この作品の制作に関わられた皆さんには本当に申し訳ないのですが、ここまで「観なければ良かった」と思った作品はありません。あくまでも僕の個人的な事情です。ご了解ください。本当にすいません。


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インポッシブル(2011年・スペイン/アメリカ) [2012年 レビュー]

原題:The Impossible
監督:J・A・バヨナ
脚本:セルヒオ・G・サンチェス

 凄まじいTSUNAMI映画でした。
 TIFFの公式サイトに「本作品には津波の再現シーンがあります。ご覧になる場合はあらかじめご了承のほどお願い致します」とあったので観てみる気になったのですが、やはり僕たち日本人には衝撃的な映画と言っていいでしょう。以下作品解説を一部引用します。

 2004年のクリスマスの翌日、スマトラ沖でマグニチュード9.1の地震が発生し、巨大津波が近隣諸国に甚大な被害をもたらした。本作は、津波にのみこまれたスペイン人一家が経験した、まさに「インポッシブル」な実話を映画化したものである。スペイン人夫婦をナオミ・ワッツとユアン・マクレガーに置き換え、実際の出来事が克明に再現されている。10分間に及ぶ巨大津波のシーンの撮影には1年を要し、ワッツは1ヶ月以上を水槽タンクの中で過ごして生死の狭間で格闘する母親を熱演している。

 とにかく津波のシーンが尋常じゃありません。
 CGのクオリティも高いんですが、かなりの部分が実写で撮られているのではないかと思います。
 特に衝撃的だったのが水中シーン。再現しているのは「津波に呑み込まれた中で、一体何が起きているのか」です。これが想像を絶する恐ろしさで、「津波が呑み込むものは陸上のありとあらゆるモノ」であることを改めて教えてくれます。それらと人間がシェイクされたら人間はどうなってしまうのか。バヨナ監督はナオミ・ワッツの肉体を傷つけることで、の恐ろしさを伝えます。
 ほぼ満席の劇場内は凍りいていたように見えました。
僕はもしや息を止めて観ていたかも知れません。それほど生々しかったし、息苦しかった。

 実話を基にしたドラマです。
 実話の強みは「狙って作っていない」という開き直りが出来ることでしょう。
 本作は津波のあと消息不明になった家族の行方を追います中盤までは「5人家族の何人が生存しているのか」が縦軸で、後半は「生き残った家族混乱の最中再会出来るのか」が軸になっています。
 
この構造はもちろん悪くないと思うのですが、途中少し“盛った”んじゃないかと疑いたくなるような「偶然」が用意されています。それが事実なら仕方ないにしろ、それでも「いいようにエピソードを簡略化して、おもしろく再構築した」ような箇所があったと思います。それが事実なら仕方ないんですが、だったら“盛った”と思わせない作りは必要だったのではないでしょうか。

 なんだかんだ言いながら、実話の強みで面白いです。
 ところがラストに「そりゃねーだろ」的な展開が用意されていますネタバレ自主規制)この展開がすべてを台無しにしました。これさえなければ80点の映画だったのに、これのせいで20点です。人道的にまったく有り得ない他のお客さんもきっと驚いていたと思います。終演後に拍手がパラパラとしか起きなかったのが、その証しだと思います。
 過去最高に残念な映画。


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マリーゴールド・ホテルで会いましょう(2011年・イギリス/アメリカ/アラブ首長国連邦) [2012年 レビュー]

原題:THE BEST EXOTIC MARIGOLD HOTEL
監督:ジョン・マッデン
脚本:オル・パーカー

 東京国際映画祭が始まった。今年で25回目。
 毎年TIFFが始まるとを感じ、終わる頃に冬の到来を感じるイベント。今年は都合がつかず何本も観られないけれど、雰囲気を愉しみに何度か足を運ぶ予定でいる。

 本作の監督は「恋にちたシェイクスピア」のジョン・マッデン。主演は同作でアカデミー賞を受賞したジュディ・ディン。さらにジュディを含めたイギリス人男女7人の物語と聞いて観ることにした。

 「インドなら物価が安く、豪華なホテルで余生を送れる」とそそのかされ、7人の年金生活者たちがイギリスからインドへ渡る。しかしそれは甘い幻想に過ぎなかった。7人は衝撃的な異文化の洗礼を受け、明日をも知れぬ生活に突入していく…。

 人は誰しも歳を重ねると固定概念の塊になる。そんな世代の環境適応能力を楽しむ映画
 ジュディ・ディンチ、トム・ウィルキンソン、ビル・ナイ、マギー・スミスといったロートル俳優キャスティングが豪華で、それぞれの競演には見応えがあり、またスラムドッグ$ミリオネのデヴ・パテルがホテルのオーナー役に配され、いいアクセントになっている。

 イギリスでまったくつながりの無かった7人が、同じ飛行機に乗り、デリーに到着し、いきなりトラブルに遭うという展開ロードムービー好きとしてはワクワクするシチュエーションだ。ホテルに着いたら着いたで、見せられたパンフレットとは似ても似つかぬボロホテルだった、という展開も面白い。けれど僕は若干リアリティに欠けた映画だなと思って途中から観ていた。
 一番はお金に関するやりとりが端折られていたことだ。

 受給年金額に対して、インドでの滞在費はいくらなのか。そういったディテールの説明がなければ、この映画のお客さんは納得しないんじゃないかと思う。この映画のお客さんとは言うまでもなく年金生活者とその予備軍である。
 この手のシルバー世代を描いた作品は、これからの日本で欠かせない商品になるだろう。劇場サイドからするとシルバー世代は昼間の空席を埋めてくれる上客である。そんな人たちを満足させる作品は、きっと何本あっても困らないだろう。

 しか固定概念の塊が相手だけに、筋が通っていないとそっぽを向かれる可能性は高い。特に「年金の有効利用」という題材シビアなだけあって、中途半端な扱いは許されないだろう。少なくとも僕個人は「収支はどうなってるわけ?」いう疑問がアタマから離れずに困った。

 「人生を豊かにするのは金でも環境でもなく自分の考え方ひとつ」

 本作のテーマはこれだ。
 だから素晴らしく優等生な映画である。充分すぎるキャリアを積んだ俳優陣も「こんな役をやりたかった」とすんなり契約書にサイン出来た脚本だっただろう。でも、だからこそ僕は不満が残った。確かに「いいハナシ」ではあるがキレイにまとまり過ぎているのが不満。ジョン・マッデンってナルシストだったか?
 「恋愛適齢期」のようなぶっ飛んだ展開があれば、もっと笑えてもっと泣けたはずなのに。ちょっと残念。
 


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東京キッド(1950年・日本) [2012年 レビュー]

監督:斎藤寅次郎
脚本:伏見晁

 「山田洋次監督が選んだ日本の名作100〜喜劇編〜」の1本。
 この映画の存在は昔から知っていたけど、これが喜劇と知ったのは今回の企画にチョイスされてから。美空ひばり13歳のときの主演映画がどんなコメディんだろうと思って観てみることに。

 母子家庭で育ったマリ子(美空ひばり)の元へ死んだ」と聞かされていた・浩一花菱アチャコ)が突然現れる。浩一はビジネスのために妻とマリ子を置いてアメリカに渡っていたが、今は成功し一時帰国していた。マリ子は困惑するが、まもなく母親が病死してしまう。浩一はマリ子を引き取りたい一心ったが、マリ子は浩一に馴染めず家出をしてしまう…。

 この作品が作られたとき美空ひばりは13歳だったのだけれど、前年(1949年)に作られた映画「悲しき口笛」が大ヒットし同主題歌も45万枚の大ヒット)、ひばりはすでに国民的スターだった。そのためか出演しているメンツがスゴい。
 ひばりの脇を固めるのは、花菱アチャコ、榎本健一、堺俊二と日本お笑い界の一時代を担った人たち。言うなれば万全の布陣で臨んだ1本というところだろう。
コメディ映画としての完成度を62年後の語るのは難しいが、この3人については三人三様の味を出していたと思う。特に榎本健一が演じたインチキ占い師は唄が流れると無意識のうちに踊りだしてしまう」というトリッキーな設定なのだ、これをエノケンが見事に自分のものにしていて、今も笑えるところがスゴかった。
 1点驚いたのはマリ子の夢のシーンでハワイロケが行われていること。
 山本晋也カントクによると「戦後初の海外ロケだった」らしいのだが、なんともゼイタクな作りである。

 美空ひばり。
 多く人が「天才」という言葉を軽々しく使うせいで、本作では見劣りしたように思う。歌の表現力にはを巻くが、劇中の歌はすべてがレコード音源であり、芝居は正直論外。器用とは言えるが映画から彼女の天才ぶり見出すのは難しい。
 劇中、マリ子を流しの歌手として売り出すギター弾きの三平を演じているのが、美空ひばり育ての親・川田晴久であることは後から知った

 まだわずか13歳の少女に、当時日本国民が寄せた期待は如何ほどのものだったのか。想像しながら観るのもいいだろう。昭和を彩る歌謡映画の典型。

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