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南太平洋の若大将(1967年・日本) [2015年 レビュー]

監督:古沢憲吾
脚本:田波靖男

 古いハワイの風景見たさに「ハワイの若大将」を見て、あまりのノー天気ぶりにびっくらこいて、わざわざTSUTAYAで借りてもう1本観ることにした。この作品をチョイスしたのはWikiに「サイパン、タヒチでロケーションされた」とあったから。サイパン好きなのよ。友達もいるし、日本史的に重要な場所だし、なんたって4歳のムスメを連れて行ける一番近い海外リゾートだし。だから60年代はどんな様子だったのか見てみたくて借りたんだけど、サイパンロケはなんとガセネタ。「こういうことがあるからWikiは信用できないんだよ。なあ青大将」(若大将風に)。

 若大将(加山雄三)は東京水産大学の学生で柔道部員。遠洋航海実習でハワイに立ち寄った若大将と青大将(田中邦衛)は、日本料理店「京屋」で客に絡まれた客室乗務員の澄子(星由里子)を助けるために乱闘騒ぎを起こす。この一件が縁で京屋の主人(左卜全)がハワイの店にすき焼きを出したいと来日。若大将の家族と親睦を深める。特に主人の孫・由美子(前田美波里)は若大将に好意を寄せるのだが…。

 「若大将シリーズ」を知らない人には信じられないと思うけれど、主要キャストは変わらないにもかかわらず、設定は毎度違うという珍しいスタイルの映画である。だから加山雄三は、田沼雄一という役名で「田能久」という老舗すき焼きやの跡継ぎという設定、また星由里子は澄子という同じ役名でありながら、作品ごとにまったく別人として登場するのだ。それでいて人格は一緒と来ているから、なんともノー天気なパラレルワールドである。観たことはないけれど、この時代の東宝を支えた「社長シリーズ」や「駅前シリーズ」も同様なのだろう。ただこれは物語を分かり易くするという点ではとても有効な手段だ。落語における「八つぁん、熊さん」と同じで、登場人物の性格を語る時間が必要ないから、そのぶん脚本がスリムになる。これは早い話が「面白いからいいでしょ?」という東宝の開き直りだ。
 そういう意味では「開き直り」の激しい脚本だった。
 一番ビックリしたのは、若大将と京屋の娘・由美子が結婚すると誤解した澄子が、日本からハワイまでわざわざ「おめでとう」を言いに行くシーン。このシーンは由美子に「若大将はうなされながらアナタの名前を呼んでいた」と言わせるために強引に作ったもので、そう聞いた澄子があわてて日本に飛んで帰るという設定になっている。この距離感。日本とハワイの距離を、浅草と六本木くらいの感覚で書いているのだ。もうちょっとアタマ使えよ(笑)。
 あと、このシリーズは2本観ただけだけど、男にとって都合のいい脚本だなあ、としみじみ思う。常に女性のほうからアプローチをさせ、若大将は恥もかかなければ、傷つくことも無い役回りになってる。こういうヤツを女性は「ズルい男」って言うんだよ。オレもよく言われたな。でもまあいい時代だったな(笑)。

 正直言うと「ハワイの若大将」で好感が持てた加山さんの“うすらバカ”感は、それから4年も経って若干薄まっていた気がする。こうなってくるとシリーズ1作目から観たくなってくるなあ。そんなヒマないけどなあ。

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  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD
うすらバカ感が消せないジャケ写。

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コメント 6

Sho

朝から笑わせていただきました。
今回は「うすらバカぶりはどうかなあ・・・」と思いながら読ませていただきました。もう私の中では、若大将シリーズ=うすらバカ感になっています(笑)。
>主要キャストは変わらないにもかかわらず、設定は毎度違う
これでずーと続いていくのでしょうか?
これもかなり面白いですね。
左卜全とか前田美波里とか、60年代を感じました。
「60年代の景色や空気」を感じたいとき見るのもいいかなあ、と思いました。
by Sho (2015-08-04 05:40) 

ken

この手の旧作は都内のロケーションも楽しみなのですが、
今回は首都高速1号羽田線が何度か出てきます。
当時のモノレールと並走する映像や、空撮はなかなか見ごたえありますよ。
by ken (2015-08-04 13:11) 

うつぼ

サイパンガセネタ。(笑)

まあ、なんでも緩く許されちゃう時代で、こういう作品もあったのかと
思いますねぇ。。

なんか、前回の記事からそうなんですが、あほぶりというかバカぶり
というか、、、しょうもないぶりっていうか、、そういうものも
楽しめそうな予感。。。

借ります。(記事にします。おそらく秋口)
by うつぼ (2015-08-04 23:40) 

ken

うつぼさま。
多分、このシリーズは初回から見るのが良い気がしますよ。
私は先週、ハードカバーの本をバカ買いしたので、
また当分映画を見る時間はないのですが、ひと段落ついたら、
第1作の「大学の若大将」と第2作の「銀座の若大将」は見ようと思ってますw
by ken (2015-08-07 16:35) 

su-nya

はじめまして。

この記事に関するコメントでなくてすみません。
でもひょんなことからこのブログに遭遇し、
全タイトルもくじから、少しずつ前の記事をたどっています。

広範囲なセレクト、鋭い批評眼、楽しく読ませていただいています。
これからの映画鑑賞の参考にさせていただきたいと思っています!

ありがとうございます。
by su-nya (2015-12-16 12:15) 

ken

su-nyaさま
開店休業中のブログへようこそ。
拙いレビューですが、何かの足しになれば幸いです。
by ken (2015-12-16 13:35) 

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