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キャプテンハーロック(2013年・日本) [2015年 レビュー]

監督:荒牧伸志
脚本:福井晴敏、竹内清人

 呆れてものも言えない。
 日本の映画製作者たちはオリジナル作品をブラッシュアップする能力が無いらしい。
 それだけではない。『デビルマン』『キャシャーン』『仮面ライダー』といった先人たちの優れたコンテンツを、のちの商業映画人たちが台無しにしてきた過去から何も学習していないようだ。
 この手の作品を観て失望すると必ず言って来たことだが、ここでも声を大にして言う。
 「いまこの作品を一体何のために映画化するのか。その意図を聞かせて欲しい」
 調べてみたら公式サイトに次のようなメッセージがあった。

 「『キャプテンハーロック』は単なるリメイクではない。『バットマン』(1989)が『ダークナイト』(2008)に生まれ変わったように、松本世界の魂を大切に保ちながら、より壮大に、より斬新にリブート(再誕)させた作品なのだ」

 東映アニメーションの諸君。恥ずかしいから『ダークナイト』と比肩して語るなんてやめてくれたまえ。君たちにそんな資格は欠片も無い。
 確かに『ダークナイト』は『バットマン』から大きく様変わりした。しかしブルース・ウェインというキャラクター設定は何も変わっていないし、むしろ主人公が背負い続けている“心の闇”という重苦しいテーマにフォーカスすることで単なるアメコミ映画からの脱却を果たし、激しいトラウマを背負ってしまった1人の人間のドラマに昇華されたのだ。それは監督のクリストファー・ノーランがバットマンの世界観を深く考察し、現代に置き換える意味、つまりは改めていま作品をリリースする意味を見いだし、時代にマッチした翻訳作業に腐心し、観客の期待に応え、あるいは良い意味で裏切ったからこそである。
 かたや『キャプテンハーロック』は原作のテーマをまったく踏襲していない。
 腐り切った地球の人間たちに失望し宇宙へ出たはずのハーロックが、なぜ地球を襲う異星人との戦いに乗り出すのか。そもそもハーロックはなぜ地球人に失望をしたのか。親友トチロー、若き日のハーロックとトチローを知る異星人のミーメ、トチローの恋人だったエメラルダス、副長ヤッタラン、そして敵の女王ラフレシア。描くべき人もエピソードも十分すぎるほどあるにもかかわらず、そのすべてをゴミ箱にぶち込み、地球人同士の内戦という視野の狭いドラマを起こし、見た目のインパクトで内容を棚に上げられるフルCGアニメに仕立てたのである。こんな作品のどこに『ダークナイト』と並べて語る資格があるというのか。

 原作は未完のままである。だからこそ原作者の了解を得て映画化する価値はある。現に1978年放送のテレビアニメ版はオリジナル脚本で完結させ、原作に対する不満を少なからず解消してくれた。それと同じ仕事をフルCGアニメで、かつ更に完成度を高めた脚本でやってくれればそれで良いのだ。
 旧い原作に手を出す理由は何なのか。それを成功させるためには何をすべきなのか。
 この手の作品をリブートするときにはもっと熟考してからにして欲しい。これ以上ガッカリするのはゴメンだ。


キャプテンハーロック DVD通常版

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コメント 2

rosemary

思い入れの強い作品の実写化ってのは、気になるから観たいけど、辛いことになることが多いですよね・・・(^^;)
メッタ斬りしたくなる気持ちも分かります。
by rosemary (2015-05-04 22:03) 

ken

特にお気に入りの作品を持ち出されての比較だったので尚更ですw
by ken (2015-05-05 10:32) 

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