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それでも生きる子供たちへ [2007年 レビュー]

それでも生きる子供たちへ」(2005年・イタリア/フランス)

 7つの国の監督たちが7つの国の子供たちの現実を描いたオムニバス映画。
 邦題はあんまりなんですが、かなり見応えのある作品です。
 公式HPにも紹介されているタイトルとコピーをまずは羅列。

「タンザ」 監督:メディ・カレフ/アフリカ
 マシンガンを握りしめる少年兵の、それでも無垢な瞳。

「ブルー・ジプシー」 監督エミール・クストリッツァ/セルビア・モンテネグロ
 盗みでしか生きられない親と子の、どこか滑稽な叙情詩。

「アメリカのイエスの子ら」 監督:スパイク・リー/アメリカ
 HIVの両親と娘の、愛情と苦悩、そして再出発。

「ビルーとジョアン」 監督:カティア・ルンド/ブラジル
 廃品を拾って自活する兄妹、今日も宝探しがはじまる。

「ジョナサン」 監督:ジョーダン・スコット、リドリー・スコット/イギリス
 地球上で消えない紛争、彼らは生きるために助け合う。

「チロ」 監督:ステファノ・ヴィネルッソ/イタリア
 大人たちと互角に渡り合う、窃盗も辞さない子供たちの夢と現実。

「桑桑(ソンソン)と子猫(シャオマオ)」 監督:ジョン・ウー/中国
 路上で働く孤児と愛に飢えた少女。それぞれの悲しみと希望。

 この作品、大人にとってはちょっと腰が引ける邦題じゃありませんか?
 なんだかわざわざ説教食らいに行くような、そんな臭いがプンプンしてますよね。でもそれは心のどこかに子供たちに対して、後ろめたさがあるからだと思います。僕の場合は44歳にもなって子供を持っていないという事実が、未来に対する責任を負わずに生きてるようで、40歳を過ぎてからはかなり負い目に感じています。
 だからと言って、じゃあこの映画を観なくて良いかというと、やっぱりそうじゃない。
 これは「かつて子供だった」大人たちが、今こそ観なければいけない映画だと思います。

 少し話は逸れますが、僕は以前からこんなことを思っていました。
 「最近、アトピーやアレルギーを抱えている子供たちが多いのは何故だろう?」
 僕が子供の頃は、花粉症なんて言葉はなかったし、アトピーという言葉すら知りませんでした。もちろんアレルギーを持っている子供はいた。しかしそれはごく少数でしかなかったと思うのです。
 では、なぜここ数年で飛躍的に増えたのか?
 これはあくまで僕個人の想像ですが、僕たちの世代が原因だと思います。
 僕たちの親はまだモノが豊かでない時代に生まれ、育って来ました。口にするものは自然のものばかり。添加物を使った食品など滅多に口にしない時代だったわけです。
 そんな親から生まれた僕たちの世代は身体に不純物を持っていなかった。だから元気だったんです。
 ところが僕たちの世代は「毒」を口にするようになった。
 合成添加物や化学調味料をふんだんに使った加工食品が食卓に並び、自らすすんで食べるようになった。物珍しかった最初の頃はまだ仕方がないにせよ、利便性を追及する余り過剰摂取が進み、僕たちの世代の身体には不純物が蓄積されていった。僕たちの世代が救われているのは、親の世代のおかげで身体が丈夫に出来ていることです。だからまだ踏ん張りが利いている。でも僕たちの世代から「毒」を受け継いだ子供たちは悲鳴を上げることになってしまった。子供には何の罪も無いのに。
 ここまでは僕の想像の範囲です。しかし長寿の国だったはずの沖縄が、米軍に占領されるようになってから、平均寿命が下がり始めたのも事実です。

 この作品を観ていて心が痛むのは、「生まれた環境によって“幸せ”の価値観が違いすぎる」ということ。
 それは生まれた国が問題なのではなく、どんな親から生まれて来たか、が子供たちにとっては最大の問題なのです。
 この映画の中では、「星の王子様」(アントワーヌ・ド・サン=テグジュベリ)の1文が紹介されていました。
 
 「大人は誰も、昔は子供だった。でも、そのことを忘れずにいる大人はほどんどいない」
 
 子供のことを考えるということは、自分の子供のことを考えるということではなく、子供たちの世代のことを考えるということ。
 戦争も、地球温暖化も、ゴミ問題も、HIVも、差別も、格差も含めて、子供たちに圧し掛かるあらゆる問題を考えるということ。
 僕自身はこの作品を観て、久しぶりに猛省しました。

 長くなりましたが、作品について一言。
 どの作品にどんな思いを寄せるか、観る人によって大きく変わると思います(そういう意味では「ゆる会」ネタに持って来いの1本です)。
 映画としてよく出来ていたのはスパイク・リーの「アメリカのイエスの子ら」。短い時間を巧みに使いながら、いろんな要素を詰め込んでいたと思います。内容の濃さは一着。
 深刻な問題を笑ってみせた「ブルー・ジプシー」も佳作。
 とにかく7作品のカラーバリエーションが見事で130分飽きさせることなく見せてくれます。

 財布の中に1,800円以上持っているすべての人に観て欲しい1本。

それでも生きる子供たちへ

それでも生きる子供たちへ

  • 出版社/メーカー: ギャガ・コミュニケーションズ
  • メディア: DVD

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コメント 4

non_0101

こんばんは。
この作品、観たいなあと思っている1本です。
やっぱり見応えがありそうですね!
シネマライズは苦手ですけど、挑戦してみようかと思ってます(^^)
by non_0101 (2007-05-27 22:30) 

ken

久しぶりにオムニバス映画のヒットでした。
ぜひご覧になってください!
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-05-28 01:18) 

江戸うっどスキー

隣に座った女の子は「桑桑(ソンソン)と子猫(シャオマオ)」を観て、泣いていました。それぞれグッとくる作品が違うのですね。
映画を観終えて、「大人の責任」って...と思った次第です。
因みに、日曜最終回は1,000円で観られます。満席でした。
by 江戸うっどスキー (2007-06-13 00:01) 

ken

最近の映画館は集客のためにいろんなことをしてくれますね。
それがとても好きです。いい映画を多くの人に観てもらいたいという
気骨を感じます。
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-06-13 00:13) 

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それでも生きる子供たちへ(とりあえず、コメントです 2007-06-23 13:45)

7つの国の子供たちを描いた7つの物語です。 『タンザ』 ルワンダの少年の物語。ほとんど無表情で黙々とゲリラ行動を行なう少年兵タンザ。 彼の流す涙は本当に哀しかったです。 『ブルー・ジプシー』 セルビア・モンテネグロの少年の物語。少年院を出入りしている少年ウロスの現実を 軽快な音…[続く]

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