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トラ!トラ!トラ! [2007年 レビュー]

トラ!トラ!トラ!」(1970年・アメリカ/日本) 監督:リチャード・フライシャー、舛田利雄、深作欣二

 クリント・イーストウッドの硫黄島2部作が話題になり始めた頃、僕はときどきこの映画のことを思い出していた。
 日米双方の視点から描いた太平洋戦争開戦までの物語。
 「そういえばどんな映画なんだろう」
 実を言うと僕は観たことがなかった。
 終戦からわずか25年後に公開された本作品は、はたしてどれほどのクオリティだったのか。

 内容以前に僕がこの映画のことで知っていることといえば、日本編は黒澤明が監督をする予定だったということだ。
 「黒澤明は撮影方針を巡って20世紀フォックスと対立し、結果降板することになった」と聞いているが、事はそう単純なことではなかったらしい。それよりも興味深いのは、「日本側のシーンの大半は黒澤が書いた脚本を流用しているものの、黒澤からの強い要望によってクレジットされなかった」というエピソードだ。黒澤の真意や如何に。
 と、まあこのように、本作は内容もさることながら、完成までの舞台裏も実に面白い。詳細はWikipediaにも記述があるのでそちらを参考にして頂きたい。

 そして本編。
 僕は正直、ここまで面白い作品だとは思わなかった。
 日本人の僕が面白いと思った点は、アメリカでは「奇襲攻撃」と認知されている真珠湾攻撃の裏に「宣戦布告の遅延」というアクシデントがあったこと。そして「合衆国側の事前察知」を想起させる描写があったことだ。
 宣戦布告の遅延があったことすら知らなかった無学な僕は、結果日米双方に不幸をもたらすことになる歴史の“あや”を見せられた気がして胸が熱くなってしまった。演出には幾分不満はあるものの、この一連は黒澤明の脚本が冴えていたというところだろうか。
 「合衆国側の事前察知」についてはまったくのデマとも言われているが、ハワイのショート将軍が米軍本部のマーシャル大将から受け取った文書を読み上げるシーンに「交戦が避けられない場合、アメリカは日本からの攻撃を望む」とのセリフがあり、観客によって解釈の差はあるだろうが、それでもこのシーンは興味深い。

 映画としての見せ場は当然、真珠湾攻撃の描写だ。
 CGなど無い時代に、実写、クロマキー合成、ミニチュア撮影という3タイプの撮影技術を駆使した映像は、公開から30余年を経過した今でも目を見張るものがある。
 特に迫力があるのははやり実写部分で、再現された零戦の編隊飛行にはえも言われぬ感動を覚えるし、空爆を受けるシーンでのアメリカ人スタントマン必死の演技には拍手を送りたくなる。これを観てしまうと誰も汗をかいていないCG映像てんこ盛りの「パールハーバー」なんぞ子供騙しだ!と言いたくなる(笑)。

 不謹慎に聞こえるかもしれないが、「戦争はエンターテイメントだ」と実感する1本だった。
 観て損ナシ。

トラ トラ トラ!

トラ トラ トラ!

  • 出版社/メーカー: 20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント
  • メディア: DVD

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コメント 4

わらばー@見ッチェル

>不謹慎に聞こえるかもしれないが、「戦争はエンターテイメントだ」と実感する1本

かなり同感です。あの戦争が無残な敗戦にいたったことを知っていても、初戦のあの鮮やかな奇襲(実際には日本側の宣戦布告遅延、米側の探知の中途半端さがあるけど)をリアルに再現したこの映画には非常に胸が高鳴りました。たしか以前の日本版では、アメリカ版でカットされたシーンがありますが、面白いです。日付変更線を超えるとどうなるか、という会話で、渥美清が「昨日の敵さんが撃った弾は、日付が変わった今日の自分らには当たらないよ」というような感じのせりふを言うんですよね。けっこう面白い会話シーンなんですが、最近の版ではカットされちゃってるのが残念です。
by わらばー@見ッチェル (2007-04-26 02:01) 

ken

渥美清のシーンがカットされているのは本当に残念ですね。
DVDの特典映像に収録されていたりしないんでしょうか?
…しないみたいですね。今ちらりと調べてみました(笑)。
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-04-26 10:47) 

父がこの作品が好きだと言っていたので
子供の頃から数回観ています。
子供の頃は当然、意味がなかなか理解できませんでしたが
年齢を重ねるごとに、観終わった後に考えることも違って
私にとっては思い入れの深い作品です。
…これも不謹慎かもしれませんが、
私にとっては最も好きな戦争映画です。(苦笑)
by (2007-04-27 21:54) 

ken

いやいやぶっちゃけよく出来た作品だと思うんですよ。
しかも脚本もちゃんと出来てるから、歴史の勉強にもなる。
ホントにいい戦争映画だと思います。
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-04-28 00:11) 

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